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彼の妻として過ごす時間

2014.06.11 (Wed)


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ゆっくりと二時間ほどで着いたところは、
私が昔家族で訪れたことがある、有名な温泉地でした。

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老舗ホテルのフロントで、サインをする彼の横に寄り添うと、
ありきたりな夫婦がそうであるように、宿泊カードの上を滑る、彼の指先を見ていました。
彼の名の隣に書かれた「順子」という名前を見て、
これからの時間が、彼の妻として過ごす時間であることを、
改めて、許すしかなかったのです。

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荷物を持って、部屋まで来てくれた女性のポーターの方から、
「奥様に、パウダールームのご説明を…」と言われたときも、
不思議なことに、それほど、違和感はありませんでした。
きっと、周りの人からは、
どう見ても、仲の良い夫婦のように見えたんでしょうね。

数ヶ月前の雪の降った午後、口の悪い女友達から、
「彼と、新婚旅行行ってきなさいよ」って、言われてました。
彼と直接、今回の旅行のこと、
それほど詳しく話さないまま、ここにこうしているんだけど、
私が、彼の妻として過ごす数日の時間は、あたりまえのように、
こうして、始まったのでした。

案内されたお部屋は、
ホテルのひとつの階を、四つの部屋だけで使ってるという、
贅沢な間取りでした。
それに、部屋から見下ろす黒部の川岸と、目の前に広がる新緑の森林など、
申し分のない、素晴らしい部屋だったと思えます。

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彼が寛ごうと、上着を脱ぎだしたので、
私は、なぜだか当然のように、
彼からその品の良い柄のジャケットを受け取り、ハンガーを使いました。
そうしながら、今は、いろいろな意味で、
私は、彼の妻として、過ごさなければならないこと、
納得させられてたんですね。

暫くの時間、二人とも上品なソファーに座って、眺めを楽しんでましたが、
「街中を散策する前に、せっかくの温泉だから、汗、流しとこうか」って。
「着替えは? バッグ、開けていいのかしら」
そう言って、許してもらうと、
彼の、素敵な旅行バッグのファスナーを開きました。
代えのズボンや靴下と一緒に、下着類も丁寧に入れてありました。
桐子さん、どんな気持ちで、これ、準備したのかしら。



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「いいのよ、そんなことで私たち、別れるなんてことにはならないから」
あの日、雪に包まれた街を見ながら、
そんな風に話してた、桐子さんの言葉を思い出します。

「夫婦らしく、一緒にね」
そんな彼からの誘いを、断りきれませんでした。
妻としては当然のように、彼の下着と、そして、自分のものを手に取ると、
バスルームに向かったんです。

桐子さんの言葉はこちらからどうぞ ↓

雪景色の街

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