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小舟の行方 6

2017.10.28 (Sat)

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案内していただいたお部屋。
岸辺の新緑の向こう側に、
さっきまで、船で辿ってきた桂川が見下ろすことができて、
素敵でした。

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うっとりと新緑を愛でていた私の背後から、ゆっくりと胸元に両腕を回してきた彼、
当たり前のように、首筋に温かな息遣いを感じたのです。

拒むように、彼の両手から上手にすり抜けようとしたのに、
そんな私を予想していたかのように捕まり、
そして、胸元に抱かれ、彼の顔が近づいてくるのが分かりました。

彼の腕の中で身体を揺らして抗ったのに、
あご先に手を添えられると、諦めたように顔を向けてしまったのです。

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彼からのくちづけを許したのは、もう、随分、前のような気がしましたが、
ゆっくりと触れてきた彼のくちびるから覗いた熱い舌先が、
私のくちびるを開きだし、逃げ惑う舌先に絡み付き、
どろりと飲まされた懐かしい唾液の味を、しっかりと思い出してました。

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腰を抱き寄せられ、本当の恋人たちのように、
永い間、お互いが、お互いのくちびるを、重ね合いました。

何度か、喘ぎと息苦しさから離れてしまった私のくちびるは、
幾らもしないうちに、また、求められ、
慌てるように、重ねあい、舌を絡ませ、唾液をすすりあっていたのです。

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その桃色の快感に、後先のこと、考えられませんでした。

彼の背中越しに、トロッコ列車と川くだりの舟が何度か過ぎ去って行き、
窓際で身体を重ねあっているふたりの姿、見られてるかもしれないって、
そうも思いましたが、
いつの間にか、彼の背中に回してしまっていた両手を引き寄せるようにして、
喘ぎの中に、甘い声を漏らし続ける自分を、許してしまっていたのでした。

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