奈良での夜4
2020.04.21 (Tue)
建物に似つかわしい伝統を感じるレストランでのお料理は、
私の大好きなホタテのワイン蒸、そして、鱧のポワレ、お肉は鴨のフォアグラソテー。
どれも、美味しかったですよ。
飲み物も、私の好きなスパークリングワインのグラスを重ねました。
育ちの良さを感じる、若く爽やかな顔立ちの彼、
それでいて、熱心に話してくれた、卒論にした石舞台古墳についてのお話など、
私、平安時代の文学が専門だったけど、やっぱり、知らないことが多くて、勉強になりました。
若いのに、しっかりしているわ。
そう思わずには、いられなかったのです。
けれど、上手にフォークが運ばれる口元を見ながら、そんな歴史のお話の間に、
その彼の身体の、若さのみなぎる固く太い男の人のもの、
根元までしっかりと迎え入れ、
その悦びに正直に身体を震わせたあの一瞬、こころによぎるのを感じていたのでした。
食事のあと、近くの庭園や池を散策しましたが、
傍からは、そんな二人の姿、どのように映ったでしょうね。
でも、そのことは、余り気にはなりませんでしたよ。
もう、彼とは、性器を繋げあった時を過ごし、
他人ではなかったことが、そう思わせたのかもしれませんね。
部屋に戻ると、予め決められたように、そっと、抱き寄せられました。
耳元を這いまわっていたくちびるが、ゆっくりと近づいてきたことが感じられ、
思わず逃げるように俯かせたのに、指先であごを持ち上げられると、
もう、諦めるようにそっとまぶたを閉じたのでした。
濡れたくちびるが重なってきて、舌先が開いて、探るように私の舌と絡まり合い、
唾液と一緒に吸い上げられると、
甘い喘ぎ声が漏れるのは、熟れ始めていた女として、
仕方のないことだとも思われました。
確かめるように、ブラウスの上から揉みあげる手のひらを感じ、
このまま、気持ちの高まりのままに、
身体を繋げあうことを望まれても、断り切れないほど、
何時しか知らないうちに高ぶってしまっていた身体の潤いに、
気が付いてしまったのです。
でも、そのことを知られるのは、年上の女として、そして、人妻として、
余りに、居たたまれないような気がしたのでした。
彼の胸元に手をあて、糸の引くくちびるから、やっとすり抜けると、
息を弾ませながら、浴室に向かったのでした。
お湯を使った後、鏡に自分の裸の身体を映しました。
白い肌、たわわな乳房、それは、最愛の夫だけのものであるはずなのに、
そんな気持ちとは裏腹に、
幾らもしないうちに迎えるだろう、彼の若い男の人のもののために、
恥ずかしい、一番女らしい秘唇が、正直に、
もう、薄っすらと、潤い始めていたのが分かったのです。
すぐに、彼の手で解かれることがわかっていたのに、
それでも、もう一度、バスタオル、巻き直したのは、
今は、そのことが、私が人妻である、僅かな貞操の、証だったのかもしれませんね。