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午後の診察室4

2014.01.12 (Sun)


先日処方していただいた、珍しいお薬のお陰でしょうか、
あれから、随分と体調は良くなりました。
ただ、熱が高かったせいでしょうか、身体の節々の痛みが残っています。

今日は、予約をしていた金曜日。
申し訳ないことに、
患者さんがいない休憩の時間にしてくれていたので、
遅れないように彼のもとを訪れました。

前回と同じように、二人だけの診察室。
そして、同じように、彼の前で下着を外しました。
今日のは、ホックが後ろにあるので、ちょっとだけ手間がかかります。

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聴診器を当てられると、
なぜだか、待っていたように、今日も、乳首が反応してしまい、
硬く大きくとがってしまうのは、どうしてなんでしょうね。
恥ずかしいわ。

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診察が終わって、下着を着け終えた私の胸に、
彼はそっと手をあてると、

「綺麗な胸なんだね。あのころと同じように」って、

遠い昔のことが鮮明に思い出されたような、そんな気がしました。
古都の町並み、学生街の喧騒、そして、あなたとのこと。

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大学四年の冬の日、
偶然京都の街中で彼と出会い食事をしました。
それまでも、時折、郷里の知人としてお会いしてはいましたが、
いよいよ、卒業間近のときでもあり、
昔からのお話をしながら、屈託ない楽しい時間でした。

その頃、M先生との恋を清算し、
残り僅かで住み慣れた京都を離れることになっていた私。
学校の先生になるつもりで、大学では勉強をして免許も頂きましたが、
父親からは郷里に戻るように強く言われ、
家の手伝いをしながら、花嫁修業をすることになっていたのです。

けれど、やっぱり、寂しかったのでしょうね。
それほど強くないお酒を飲みすぎて、
その夜、彼のマンションで逞しい腕に抱きしめられながら、
悦びの声を上げたのでした。

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卒業後も、彼との関係は続きました。

「君との結婚を考えているから、
医学部を卒業して、一人前の医者になるまで、
暫く待っていて欲しい」
 
彼に抱かれながら、そう言われた夜もありました。
そして、そんな彼との夜を過ごすために、
何度も京都まで通った時期もあったのです。

けれど、ご縁がなかったのでしょうね。
少しずつ、会えない日々が当たり前になった数年後、
私は彼ではなく、
お見合いの席で初めて出会った今の主人と結ばれ、
すぐに、赤ちゃんを身ごもったのでした。

「駄目よ、大切な主人がいるの、
お願いだから、昔のことは忘れてくださいね」

下着越しに胸に当てられた彼の手を、
私は大事そうに、けれど、そっと引き離して、目を伏せたのでした。

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前と同じように、処置室で点滴をしていただくことにして、
簡易のベッドに横になりました。
薬液が一滴ずつ、ひとつ、ひとつ、落ちるのを見ている間に、
なぜだか、また、眠くなってそっと瞼を閉じたのです。

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この間のような夢とは違いました。
今度は、彼の暖かい手が、下着と乳房の間に、
そっと滑り込んできたような夢だったのです。

その手のひらは、ゆっくりと、優しく、
私の乳房をいとおしむかのように揉み続けて、
身体中に広がり始めた柔らかい快感を、
虚ろな感覚の中で、感じていたのでした。

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私は、そのまま、夢の中で、
現実に戻るために目を覚まさないように、
眠り続けることにしました。

彼に対して、
今も申し訳ないことをしたと思っています。
そんな過去を引きずっている私にとって、
この時間だけ彼の夢を見ることは、
仕方のないことのように思われたのでしょうね。

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パパ ごめんなさい、許してね。
もう、彼とこうして会うこと、きっと、ないのだろうから。




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