演奏会の夜
2014.01.19 (Sun)
おとといの夜。
寝室のベッドの上で、
パパと二人でごろごろテレビを見ていました。
BS-TBSのクルーズ旅行の番組です。
いいですよね、あんな素敵な豪華客船で旅行できるなんて、
パパ、いつか連れて行ってね、
楽しみにしてるわ。
突然耳元で、「ピアノの発表会があるんだ」って、
えぇ! パパとピアノの発表会?
それも、私が昔出場していたピアノコンテストの入賞者だけでの演奏会。
まあ、行きたいわ、当時習っていた先生が、
今も審査員をされていることは聞いていたから、是非お会いしたいし。
主人も小さい頃ピアノ習っていたから、
今でもたまに、家で、ピアノ弾くんですよ。
それも、ショパンを。ふふ。
でも、娘たち、そんな主人の演奏、すごく、喜んで聞くんです、
自分たちのほうが、遥かに上手だって言うのに。
去年の暮れ、ノクターン、主人が弾いたとき、
娘たち、本当に、真面目に聞いていました。
おかしいですけどね。
演奏会、まあ、いいかなぁ。主人には少し退屈かもしれないけど、
二人で仲良く座って、生徒さんたちの一生懸命な演奏聞くの、
楽しいかもしれないわ。
週末の夕刻、久しぶりの音楽会会場での待ち合わせ。
「綺麗にしておいでよ」って、主人から言われ、
頑張って着飾ってきました。
こんな装いです。ちょっと、カジュアルっぽいかなぁ。
でも、ある意味微妙な年頃なので、若作りしました。
ふふ。
それに、演奏会後の、ラブラブを期待して、
セクシーな下着を選びました。
こんな下着、ちょっと、恥ずかしいけど。
けれど、約束していた音楽堂コンサートホールのカフェで、
私の席の前に座ったのは、
なぜ! どうして! あきらさんなのかしら。
「先輩から、先日の診察のお礼にって言われたんだけど、
あれ、先輩は来ないの」
その時になって、主人からのメールに気づきました。
「抱かれておいで、食事も予約してあるから」
私、きっと青ざめたと思います。
思ってもいなかった成り行きに、身体と言葉が震えました。
あの診察の日から、彼のこと、
もう、思い出さないようにって努めてきたのに、
その人が、目の前に座っている。
それも、主人の計らいで。
そんな私の心情を、察したのかどうかわからないけど、
あきらさん、目の前の紅茶を飲み干すと、
自然な振る舞いで、私を会場に誘ったのです。
当時、二人が習っていた先生に、ご挨拶に行きました。
もう、随分と経つのに、先生変わりなくお綺麗。
「まあ、嬉しいわ。私の生徒さんの中で、一番出来の良かった二人だったから、
でも、なんだか、二人、お似合いね」って、
残念ながら、今は、聞きたくないようなお話。
生徒さんたちの演奏は、たいへん良かったですよ。
ピアノの他にも、各部門で優秀な成績を修められた立派な演奏を、
十二分に楽しむことができました。
けど、ちょっと、困ったのは、
演奏が始まると同時に、肘掛けに置かれた私の手、
彼の、白い掌が包んだことでした。
薄暗い会場ではありましたが、誰かに見られたら、たいへん。
それでなくても、よく知っている人たちが、たくさんいるのに。
でも、とうとう最後まで、
なぜだか私、その手を払うことはできませんでした。
温かい彼に、演奏会の最後まで私は包まれていたんです。
寝室のベッドの上で、
パパと二人でごろごろテレビを見ていました。
BS-TBSのクルーズ旅行の番組です。
いいですよね、あんな素敵な豪華客船で旅行できるなんて、
パパ、いつか連れて行ってね、
楽しみにしてるわ。
突然耳元で、「ピアノの発表会があるんだ」って、
えぇ! パパとピアノの発表会?
それも、私が昔出場していたピアノコンテストの入賞者だけでの演奏会。
まあ、行きたいわ、当時習っていた先生が、
今も審査員をされていることは聞いていたから、是非お会いしたいし。
主人も小さい頃ピアノ習っていたから、
今でもたまに、家で、ピアノ弾くんですよ。
それも、ショパンを。ふふ。
でも、娘たち、そんな主人の演奏、すごく、喜んで聞くんです、
自分たちのほうが、遥かに上手だって言うのに。
去年の暮れ、ノクターン、主人が弾いたとき、
娘たち、本当に、真面目に聞いていました。
おかしいですけどね。
演奏会、まあ、いいかなぁ。主人には少し退屈かもしれないけど、
二人で仲良く座って、生徒さんたちの一生懸命な演奏聞くの、
楽しいかもしれないわ。
週末の夕刻、久しぶりの音楽会会場での待ち合わせ。
「綺麗にしておいでよ」って、主人から言われ、
頑張って着飾ってきました。
こんな装いです。ちょっと、カジュアルっぽいかなぁ。
でも、ある意味微妙な年頃なので、若作りしました。
ふふ。
それに、演奏会後の、ラブラブを期待して、
セクシーな下着を選びました。
こんな下着、ちょっと、恥ずかしいけど。
けれど、約束していた音楽堂コンサートホールのカフェで、
私の席の前に座ったのは、
なぜ! どうして! あきらさんなのかしら。
「先輩から、先日の診察のお礼にって言われたんだけど、
あれ、先輩は来ないの」
その時になって、主人からのメールに気づきました。
「抱かれておいで、食事も予約してあるから」
私、きっと青ざめたと思います。
思ってもいなかった成り行きに、身体と言葉が震えました。
あの診察の日から、彼のこと、
もう、思い出さないようにって努めてきたのに、
その人が、目の前に座っている。
それも、主人の計らいで。
そんな私の心情を、察したのかどうかわからないけど、
あきらさん、目の前の紅茶を飲み干すと、
自然な振る舞いで、私を会場に誘ったのです。
当時、二人が習っていた先生に、ご挨拶に行きました。
もう、随分と経つのに、先生変わりなくお綺麗。
「まあ、嬉しいわ。私の生徒さんの中で、一番出来の良かった二人だったから、
でも、なんだか、二人、お似合いね」って、
残念ながら、今は、聞きたくないようなお話。
生徒さんたちの演奏は、たいへん良かったですよ。
ピアノの他にも、各部門で優秀な成績を修められた立派な演奏を、
十二分に楽しむことができました。
けど、ちょっと、困ったのは、
演奏が始まると同時に、肘掛けに置かれた私の手、
彼の、白い掌が包んだことでした。
薄暗い会場ではありましたが、誰かに見られたら、たいへん。
それでなくても、よく知っている人たちが、たくさんいるのに。
でも、とうとう最後まで、
なぜだか私、その手を払うことはできませんでした。
温かい彼に、演奏会の最後まで私は包まれていたんです。
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