マスカレード7
2019.11.27 (Wed)
それでも、私、ゆっくりと、身体を回すと、仰向けになり、彼の肩を抱き寄せました。
なぜだか分かりませんでしたが、
Nさんの男の人のもの、今は、自然な形で迎え入れたかったのでしょうか。
数年前、地中海の船の上で抱かれ、他人ではなくなったNさん。
その後も、最愛の夫から言われるがまま、
まるで、彼の愛人のように、度あるごとに抱かれ、
何度となく、彼の熱い精液、身体の奥に迎え、身体中に染み込ませていたのです。
ただ、ここ何度かは、彼の身体の調子が悪くて、
胸元に、男の人のしるし、撒き散らされたり、お口に含んで飲み下すことはあっても、
お互いの性器、繋げあうことができないでいたんです。
けれど、温かい肌を重ねあうだけの時、
それは、それで、私にとっては、幸せな時間ではあったんですけど。
抜かれた彼の熱い男の人のものを、
もう一度、ゆっくりと、自分の身体が迎え入れ、
重ねられてきたくちびるを、私の方から、舌先で開き、唾液を啜り合いながら、
喜びの曇った声を、微かに漏らしていたんです。
「若い男に入れられて、順子が、あんなにいやらしい姿見せるだなんて…」
Nさん、そう言いかけるとに、
自分のそんな言葉に、興奮したんでしょうか、
倒れかけるように、私の柔らかい身体を息が詰まるほど抱きしめ、
私の太ももを押し開いた彼のたくましい腰が、急に深く強く突き入れられ、
とうとう、震えだしたんです。
あぁ、中に出してくれるんだわ。
Nさんの精子が欲しい、いっぱい、欲しい、あの時みたいに。
そう、思った私、両手を彼の首筋絡ませ、ぶつけるようにくちびるをねだると、
身体の奥、段々と温かくなっていくの、感じていたのでした。
二人の荒い息遣いが重なり合い、精液と愛液の混ざったふしだらな匂いが、
薄暗い部屋の中を、漂っているようにも思えました。
あっ、と思うと、すっかり硬さを失ってしまった彼の男の人のもの、
私の肉壁の柔らかな締め付けのために、
おびただしい精液と一緒に、ゆっくりと押し出されたのです。
跪いた彼の腰が、胸もとに近づいてるくると、Nさんが何を望んでいるのがわかりました。
それは、これまでの、彼との営みの中で、
求められなくても、むしろ、私の方から望んで繰り返す、二人のお約束事なんです。
硬さを失ってしまった、彼の精液と、私の愛液に濡れた男の人のもの、
何のためらいもなく、お口に含むと、
舌を絡めて、髪を揺らして、
そして、彼の大切な名残りの精液、もっと、出してほしくて、
甘い声をあげて、吸い続けながら、
「あなただったら、たくさんの男が群がってくるわよ」
「夫以外の人に抱かれるって、どうして、あんなに良いのかしら」
そんな桐子さんの言葉、思い出していたのでした。