佐渡での数日5
2017.02.05 (Sun)
目を見開いたまま、呆然として、薄っすらとした白いお部屋の天井、
ただ、見上げていたような気がします。
けれど、居たたまれないような麻痺の襲う身体の奥からは、
今しがた注がれた彼のしるしが、つぅーって、伝い流れているのがわかりました。
昨日から今朝まで、何度も、彼のくちびるが摘まみ、舌先が吸い上げた柔らかな乳首が、
その液の温かさに誘われるようにして、キューンって、固くなり、
その度に、身体の芯に、桃色の快感が走り抜けていました。
「テイッシュ、使いますね」
そう言って、彼がベッドに乗ってくると、手にしたテイッシュを、私の太ももに近づけたのです。
されるがままに、膝をたて、ゆっくりと太ももを開くと、
ヒクついていただろう熱い秘唇から、後ろの方にまで伝い流れる温かい男の人の液、
そして、その液、優しく拭き上げてくれてる、そのぞろりとした感触に、
「あぁん」
て、あきらめたような、甘い声、漏らしてしまってました。
やっと、熱い喘ぎが治まりかけようとしたのに、
優しく腕枕をしてくれてた彼、その手のひらが、たわわな乳房に被さってきて、
柔らかくなりだしていた乳首、人差し指と中指の間で挟んだの、分かりました。
「感激しました。思ってた通りの身体なんですね」
そんな恥ずかしい言葉、聞こえない振りをした私、
掠れた小さな声で、こう応えたのです。
「研一君、あなた、女の人、私が初めてじゃないわね」
ゆっくりと、乳房の柔らかさ楽しんでいた彼の手のひら、
はっとしたように止まると、
「えっ! わかりました?」
「ほらっ、やっぱり、そうでしょ。分かるわよ、人妻の私のこと、あんなに泣かせたんだもん」
近づいてきたくちびる、私、怒っていないこと、分かってもらうために、
良い匂いのする唾液に濡れたそのくちびる、こすりあう様にして、重ねたんです。
「女の人とのこと、もう、経験してて、高校に入学するときに、家庭教師の先生と」
「まぁ、そんな前から」
「ごめんなさい。嘘つくつもりはなかったんですけど、
順子さんのこと、忘れられないこと、本当だったんですよ。
それに、先生から、卒業させてもらうようにって言わないと、
もう、二度と逢ってもらえないぞって言われて」
そう言うと、もう一度、くちびる、ねっとりと重ね、舌、絡めてきたんです。
「先生からも、そんなこと、言われたの?」
「えぇ、あれから先生も、葵さんと、また、逢いたいって言ってて、
それに、順子さんも聞いてと思いますけど、奥様、亡くしたっていう話、
それも、本当のことじゃないんですよ」
「やだぁ、驚いたわ。葵さん、そのこと知らないわよ」
「いえ、葵さんには、前に本当のこと話してあるって、そう、おっしゃってました」
ええっ、じゃぁ、何も知らなかったの、私だけなのかしら、
知らないまま、先生と研一君、そして、葵さんの、巧妙な罠に、見事に嵌ってしまったのね。
驚きに呆然としていた私の裸の身体を、また、彼の手のひらが這いまわると、
「あぁ、何度出しても、また、欲しくなっちゃう」
そう言って、くちびる、ねだりながら、
覆いかぶさってきた彼の広い背中に、
言われもしないのに、両手を絡ませると、白い太もも、ゆっくりと開いたのでした。
こうして、二日目の午前中、レストランにさえ行かないで、
ベッドの上で、抱き合い、彼の若さに翻弄された私、
彼の望むがままに、身体を開き続けた時間を過ごしたんです。
彼との約束、私にとっては思いもかけない結末になってしまったけど、
もう、仕方のないことだと、諦めるしかなかったことだと、
その時は、そう、思うしかなかったのでした。
殆ど、観光らしいことをしなかった二泊三日の佐渡旅行の最終日。
新潟駅のホームまで見送りに来てくれた二人でしたが、
途中でのお弁当を選びに、先生と二人で構内のお店に行きました。
「今度は、二人だけで、逢いたいね」。
支払いをしていただいたので、丁寧にお礼言ったんですけど、
私の身体、舐め回すように見てた先生、こう言われたんです。
「あいつと違って、じっくりと大人の夜、楽しませてあげるから、
暫くしたら、連絡させてもらうよ。いいだろう」
ひどく驚いた私、身体、震わせました。
だって、今朝、佐渡のベッドの上で、
泣き声をあげてねだった研一君の精液、
まだ、身体の奥に、宿しているように思えてたんです。
先生、その濡れた場所に、今度は、自分の男の人のしるし、
たっぷりと、注ぎ入れること、望まれているのでしょうか。
さっきまで、
研一君といちゃいちゃしながら乗っていたジェットフォイルの中、
「あんなに、いっぱい出したのに、
順子さんの身体見てたら、もう、欲しくてたまらなくなっちゃった」
そう言いながら、太ももに伸びてきた彼の手、感じていたんです。
「また、逢ってくれるって約束してください。
今度は、僕がひとりで、順子さんのところに行くから」
そんな、人妻として、二度はできるはずもない研一君との約束、
振り払うようにして、移した視線の先には、
日本海の真っ青な夏の海が、幾らかの白波を見せながらも、
どこまでも、穏やかに広がっていたのでした。
| HOME |