夜の黒川温泉4
2017.01.19 (Thu)
「駄目よ、順子さん、起きちゃうわ」
「大丈夫だよ。さっき見たら、寝てたから」
そんな、曇ったような二人の微かな話し声と、揺れるようなお湯の音が聞こえ、
うっすらと、目が覚めようとしていました。
夕食から戻ってきた後、ごろんとお布団に横になってしまった私、
お酒の酔いもあったんでしょうか、
そのまま、薄い眠りの中で、純君との、恥ずかしい夢、見ていたんですね。
「ああん。あなた」
「ほら、もっと」
「いやあん、そんな」
まぎれもなく、夫婦の営みの時、始まっているのがわかりました。
まぁ、何も、私の部屋でなくてもいいのにって、そうも思いましたが、
露天風呂に、二人で入ってて、そんなことになってしまったんでしょうね。
揺れるようなお湯の音に合わせて、悲しいような細い声が聞こえてきて、
私、恥ずかしいけど、思わず、下着の中に手、滑り込ませていました。
しっとりとした秘唇に指先を当てて、そっと開くと、
さっき見た、桃色の夢のためでしょうか、
とろりとした恥液、伝い流れたような気がしたんです。
濡れた指先が、今だけは、私だけのものである柔芽に添えられ、
自分の求める桃色のときに向かって、
自分でも驚くほど、焦りながら、摩りだしていたのでした。
「ああん、パパ、すごい」
切羽詰ったような、みどりさんの声に、思わず私、目を見開きました。
純君の腰に跨ったみどりさんの、夜目に浮かび上がるような、揺れる白い裸体、
そして、その白いお尻の間に、
さっきまで夢の中で、私が迎えていた純君の逞しい男の人のものが、
激しく見え隠れしていたんです。
「ああ、いっちゃうぅ」
「ほら、順ちゃんにも、見てもらうんだよ」
そう、言われながらも、みどりさん、くいっ、くいっ って、
嫌らしい、順君のもの、深く迎えるような腰の動き、
止めること、できなかったみたいで、
「あぁ、順子さん、見ないで」
って、順君の肩口に、噛り付いたのでした。
「ごめんなさい、順子さん。いっちゃうわ」
そう、言うと、細い首筋を仰け反らせ、がくっ、がくって、
強い麻痺に襲われた身体、見せたのです。
けれど、そんな二人の姿、見せられたからでしょうね。
それまで以上に、激しく動いてしまった濡れた二本の指先と、
反対の手のひらで揉み上げた乳房からの快感に誘われ、
「ああん、わたしも」
そう、細い声をあげると、腰、跳ね上がったのでした。
順君、そんな私の恥ずかしい姿と、みどりさんの強い締め付けに、
我慢できなかったんでしょうね。
唸るような声を聞かせたと同時に、
みどりさんの背中が反り返るように強く抱きしめ、腰、押し付けたのです。
あぁ、みどりさん、今、出されているんだわ、
純君の、男の人の液、いっぱい。
でも、そう思った瞬間、思いもかけず、
自分の夫ではない純君の、その青臭い強い匂いを思い出し、
そして、その匂いに誘われるようにして、
わたし、身体を激しく仰け反らせると、
もう一度、目のくらむような悦びの頂に、昇り詰めていったのでした。
昨夜、純君とみどりさんが、身体を繋ぎ合っていた、
お部屋の露天風呂。
朝方の、乳白色の日差しが、すだれの向こうから、柔らかく射してきていました。
わたし、浴衣を滑り落とすと、
何度目かの、湯殿に、身体を浸らせ、全身に染み通るようなお湯に、
目を細めたのです。
あぁ、恥ずかしかったわ。
仲の良い二人の、激しい夫婦の営み、見せられたのもびっくりしたけど、
それ以上に、我慢のできない自分の指先に誘われるがまま、
ひとりで、悦びに身体を悶えさせる姿見られたこと、
やっぱり、ひどく、いたたまれないことだったと思えたんですよ。
でも、まどろんでいるときに見てしまったような、
純君との、あってはならない過ちなかったことが、
せめてもの、幸いだったのかもしれませんね。
透明なお湯の下に揺れながら見える、
今は自分だけのものである白い乳房、そっと揉みあげると、
温泉がゆっくりと染み込んだきた身体に、
だんだんと、広がる淡い桃色の快感。
思わず、ひとつ、小さな息を、吐いたのでした。
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