2ntブログ
03月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫05月

六条通りから1

2021.04.12 (Mon)


加賀友禅 訪問着 吉村伊佐子10-1

「ほらっ、これもいいでしょ」
「えぇ、色が素敵だわ」
「そうでしょ、順ちゃんの年の頃に、
ほらっ、八坂さんの通りの「むら田」で買ってもらったのよ」
「派手過ぎず、それでいて、落ちおちつぎすぎないでいいよね」
「順ちゃんの歳だったら、このくらい明るくていいのよ」

そう言うと叔母さん、手に広げていた訪問着、膝を進めて、私の肩に掛けたのでした。

二か月に一度程度、京都の叔母さんのところに行っています。
コロナのことも心配だけど、いろいろとお手伝いすることもあるし、
京都に住んでいる、娘たちのこともあって、出掛けているんですよ。
叔父さんは、公立の学校の校長を退職した後、大阪の大学に講師として勤めていて、
週のうち、数日は大学の職員用宿泊施設に、お泊りしています。

今日も、叔母さんの前に病気したところの定期健診と、
区役所にもちょっと用があって、二人で行ってきました。
あぁ、それから、八坂さんの前、東大路通り沿いにある亀谷清水さんの、
「お団」と言われる和菓子も買ってきましたよ。
千年の古から、その姿を変えていないと言われるお菓子です。
皆さんも一度、食べてみられてはいかがでしょうか。

year01-02.png

「旦那さんと、上手くいってるの?」
「どうして。えぇ、おかげ様で、仲良くやってるわ」

でも、少し慌ててしまったこと、知られたでしょうか、
そんな私のこと、もう一度見ながら、叔母さん、こう言ったんです。

「そう、だったら、良いけど」

でも、叔母さんには、何もかもお見通しなのかもしれないわ。
確かに、夫とは仲良く暮らしてはいるものの、
その夫ではない、何人もの男の人たちと、
人には話せないようなふしだらな関係を続けていること。

大学を卒業するころの私は、
京都にある母校の付属高校の国語教師として、内定をもらってはいたものの、
M先生や、何人もの男の人に、ただ、精液のはけ口として抱かれ、
女として、ただれるような悦びをしっかりと教えられていた私、
それまでとは、明らかに派手になりはじめていたお化粧や下着、
そして、男の人を求める、男の人から求められる身体に染められていて、
そんな風に変わっていく私のことを察した叔母さんが、私の父親に相談したらしいんです。

「順子ちゃんは、親元で過ごして、早く、嫁がせた方がいいわ」

確かに、男の人の味をしっかりと教えられてしまい、それを求める身体の疼きにさいなまれ、
自分自身の女の身体を、その頃の私、自分ではどうしようもなかったこと、
間違いのないことだったんでしょうね。

00107 (1)

「今度、旦那さんと車で来た時に、それ持って帰っていいわよ。
あぁ、帯留めや小物もたくさんあるから、好きなの選んでおくといいわ」

叔母さん、そう言うと、着物に目を移したのでした。

関連記事
13:27  |  そうた君とのこと  |  Trackback(0)  |  Comment(6)
 | HOME |