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恩返し4

2019.08.16 (Fri)


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楽しみにしていた夕食、のど黒のしゃぶしゃぶや能登牛石板焼きなど、
旦那様方大いに喜んで、お酒も随分と進んだみたいだし、
私たちも、結構頂きました。
明子さんたちの、パリでの思い出話が、とっても面白かったんですよ。
外人さんはどうだ、こうだと、ちょっとえっちなお話もあったんですけど。

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お皿が引かれると、主人、明子さんたちと、海辺の方に散歩に行くっていうので、
私ひとり、先にロビーの方に降りて、お土産の品定め。
部屋に戻ると、あらっ、旦那様がお一人。

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「ふたりとも、下の松林に行っちゃいましたよ」

そう言って、ホテルの裏にある見事な松林に続く散策路の方に目を移しました。
私も、一緒に二人の姿探しましたが、
そっと、後ろから、彼の身体が寄り添ってきたんです。

「明子のことで、順子さんやご主人に無理を言って申し訳なかったですね」
私が、言葉を探しきれないでいると、
「けれど、そのお陰で、こんな時間を過ごせるんだから」
って、私の浴衣の身体に巻き付かせた両腕に、ぎゅうって、力こめたんです。

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「あんっ! 駄目」って、
甘い声が出て、思わず仰け反りました。
こんなことにはならないだろうと思っていたのに、
皆が望む夜に向かって、桃色の時間が少しずつ、流れ始めようとしていたのでした。

おとがいに手を添えられると、いい匂いのする息が近づき、
彼のくちびるが、私のくちびるを求めてきたことが分かりました。

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夫が、近くにいるというのに、
求められるがままに、人妻としてのくちびるを、
夫ではない男の人のくちびるに、許してしまうのでしょうか。
くちづけは、それだけでは済まない時間の始まりだとわかっているのに。

僅かに、彼のくちびるが、自分のものに触れたと思えたその瞬間、
私は、自分でも驚くほど上手に、彼の両腕からすり抜けていました。
そして、乱れた息を整えながら、浴衣の胸元を重ねなおすと、

「私たちも、お散歩、行きましょうね」って、
恥ずかしそうに微笑み返したのです。
あぁ、危なかったわ。

こうして更けていった能登の夜。
四人がどんな時間を過ごしたのか、
ごめんなさい、それは、ひ・み・つ です。

ふふ。


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