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恩返し3

2019.08.09 (Fri)


それから半年ほどして、
ご主人が帰国したって、明子さんから、連絡があったんです。
出身も、大学も東京だったご主人、
ぜひ、私の街に行ってみたいと、二人で訪れてくれました。

週末、主人の運転で能登に行くことになっていたので、
平日だったその日は、私が、兼六園やひがし茶屋街、お城公園などをご案内。

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歴史好きだったご主人、喜んでくれました。
おもてなしなので、着物着ましたよ。
私が一番気に入っている絞りのもの、
そんな、私の着物姿も、とっても、誉めていただきました。

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有名商社のパリ支店勤務、センスの良い身なりと品のある口調。
私も、なんだかどきどきしちゃう、素敵な男性なんです。

「永く外国にいると、この街のような、純日本風な佇まいが、心に染みるし、
 やっぱり、自分が日本人なんだと、実感できますね」って、
私の着物姿舐めるように見ながら、そう、言ってくれました。

「それに、順子さんみたいな、美しい黒髪の清楚な女性にも、
こころ揺れるものを感じますよ」

美しい緑の絵が映る池のほとりを、三人でゆっくりと歩きながら、
この街に来ていただいたこと、嬉しく思ったのでした。

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次の日は、朝早くにホテルの明子さんたちを拾って、二時間ほどのドライブ。
一度、予約してあったホテルに到着した後、
楽しみにしていた朝市に、タクシーで出発。

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露天のお店を覗いた後、新鮮な魚介類を、安くいただける小さなお店に入り、
立ち飲みでしたが、朝からお酒まで頂いてしましました。

アワビや珍しく串に挿してあるお刺身、そして、日本酒。とっても、美味しかったですよ。
私たちには、行き慣れたところでしたが、
明子さんご夫婦には、ひどく喜んでいただいて、良かったです。
その後は、輪島塗の美術館や酒蔵の見学。

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お昼過ぎに旅館に戻ると、せっかくだからと温泉に入り、
私たちはリビングの大きなソファーで、明子さんたちは、奥の洋室で、少しお昼寝。
座敷から日本海を眺められる、素敵なお部屋予約してあったんで良い気持ちでした。

十四畳の和室に眺めが楽しめる板の間付の和室と、箱庭の緑が楽しめるリビングルーム、
その奥に、セミダブルのベッドが二つ並んだ寝室と、
四人でも、ゆっくりと寛げる間取りだったんです。

楽しみにしていた夕食の前に、もう一度、お風呂頂きました。
お部屋にも、立派なお風呂あったんですけど、
目の前に広がる海を眺められる波打ち際の大浴場があったので、
明子さんとご一緒しました。
タイミングが良かったんでしょうね、二人きりだったんですよ。

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「初めての能登だったから、主人も楽しんでくれたみたい。良かったわ。」

明子さん、白い胸元にお湯を掛けながら、そう言ってくれました。
えぇ、私も嬉しかったですよ。
けれど、その後の言葉に、びっくり。

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「それに、やっと、ご恩返しできそうだし。
がっかりしないように、順子のこと、しっかり可愛がってあげてねって、
そう、言ってあるから」

「もう、いいのよ。そのこと、
明子さん、お願いだから、この間のこと、忘れてね」

「それが、主人、旅行前から、順子とのこと、楽しみにしてるみたいだし、
 私だって、旦那様とのこと思い出して、恥ずかしいけど、しっとり、しちゃって」

そう、言うと、目の前に広がる穏やかな海に、濡れたような視線を移したのでした。

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やだぁ、ご恩返しのこと、明子さんたち、すっかり忘れてるって思ったのに、
まぁ、きっと、へんなことには、ならないだろうけど。って、
その時は、そう、思っていたのです。

穏やかな水平線の西側の空が、淡い茜色にゆっくりと染まり始めていたのでした。

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