恩返し2
2019.08.06 (Tue)
「朝食は、ホテルで、済ませてくるから」
そう言ってたとおり、二人、次の日のお昼前に帰ってきましたが、
ひどく遅かったわね、今まで、何してたのかしら。
その後は、皆で、明子さんのために観光。
ご希望通り、二人、肌を寄せ合って、身体を繋ぎ合ったのでしょうか、
主人、私のもとに戻ってきたはずなのに、
明子さんたら、時折、主人に腕を絡めてたりして、
なんだか、どちらが奥さんか、わからない様子だったんですよ。
夕食は自宅で手料理をって、台所で明子さんと二人で下ごしらえ。
「昨日は、ありがとう。ごめんなさいね」
聞こえない振りをして、手元の視線を移さないようにしたんだけど、
「ご主人すごいのね、順子、幸せだわ」だって、
もぉ、何が、すごかったのかしら。
「約束どおり、今度、主人に恩返ししてもらうから、楽しみにしててね」
恩返し? それって、どうゆうことかしら。
まさか、私が明子さんの旦那様に、抱かれるってこと!
やだぁ、それが、恩返し!
この街のご馳走と言えば、海産物と日本酒。
大阪も、美味しいものがいっぱいなんだろうけど、
その日の自宅での夕食、明子さん、とても、喜んでくれました。
私の隣に座った主人、今夜は、間違いなく私の大切なパパでいてくれたのです。
こうして、二日目の夜が更けていきました。
きっと、真夜中だったと思います。
暗がりだったので、何時だったかはわかりません。
けれど、主人が寝室にいないこと、すぐに気が付きました。
そして、どこに行っているのかも、なぜだか、察することができたのです。
二つの部屋を間に挟んで、
一番、奥にあるゲストルームにいる気がしたのです。
そして、そのゲストルームには、明子さんがいるのでした。
どちらが誘ったのかしら、
昨夜の繋がりを、お互いの身体を、忘れることができなかったのでしょうか。
それぞれの寝室に入った後、
もう一度、昨日の夜と同じような桃色の時間を過ごそうと、
私に、気付かれないように、約束したのかしら。
明子さん、自分だけではどうしようもない、身体の求めのおもむくままに、
「すごいのね」って言っていた、
私の大切な主人のもの、迎え入れているのでしょうか。
今の時間が、夢の一幕であるように願いながら、私はそっと、目を閉じたのでした。
| HOME |