地中海での思い出1 ローマ
2016.11.18 (Fri)
バルコニーから射す朝の光は、ローマへのオプショナルツアーの今日、
申し分のない、晴天を約束してくれているようでしたが、
ベッドの上の私は、昨夜が遅かったせいでしょうか、
目が覚めた後も、そのまま、恥ずかしい姿のまま、寝転んでいました。
夢であって欲しかった、昨夜の出来事。
でも、だらしなく椅子に掛けられた薄紫のカクテルドレスが、
まぎれもなく、取り戻せない時間だったこと、教えていたのです。
Nご夫妻のお部屋から戻ってきた後、
顔を見合わせることできないままに、抱きしめられ倒れ込んだベッド。
仕方のない、主人と奥様の汗と、愛液に、しっとりしていたシーツを感じながら、
私、痛みさえ覚える、身体の疲れに、
シャワーさえ使うこともできないで、まぶたを閉じた夜だったのでした。
幸い、朝食に向かったいつもの15階のレストラン、
Nさんご夫婦と出会うことはありませんでした。
穏やかな波間を見ながら、なぜだか、二人分のオムレツ、ぺろりと平らげた主人、
昨夜のこと、何も聞かないまま、
いつもと同じように、穏やかな眼差しで、私のこと、見てくれていたのです。
チヴィタベッキアの港に着くと、お迎えのバスに乗って一路、ローマへ。
今日は、Nさんご夫婦とは、幸か不幸か、随分と離れた席でした。
それでも、斜め後ろから、ちらちらって見える、忘れるはずなどできない、
だんな様の、肩と腕と指先。
その逞しい身体に覆いかぶさるように抱きしめられ、
数え切れないほどの悦びに、女の身体、振るわせ続けたのでしたのね。
車窓から流れるように見える、穏やかな田園風景と、遠くに輝く地中海の波を見ながら、
思い出してはならない、恥ずかしい夜のことが、こころを占めていたのでした。
楽しみにしていたローマの街中の散策。
テレビで見ることはあったコロッセオ、凱旋門、実物を見学して感激しましたよ。
2000年近く前の建造物を、こうやって見られるなんて、
その間、ひどい地震とか、なかったのかしら。
それから、また移動して、トレビの泉へ。
グレゴリーペックとオードリーヘップバーンの姿が重なり合いました。
また、大好きなパパと来ることができるように、
二人揃って後ろ向いて、コイン、投げましたよ。
コイン一枚で、再び、ローマにくることができる。
コイン二枚では、大好きな人と、永遠に一緒にいることができる。
そして、三枚では、夫や妻と、別れることができるのだそうです。
ふふ、最後の、変ですよね。
あっ、Nさんたちご夫婦も、泉の向こう側で、
ひとつのジェラード、仲良く舐めあいながら、コインを投げてるわ。
やだぁ、だんな様の手から、三枚目のコインが。
奥様と別れて、どうするつもりなんでしょうか。
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