地中海での過ち5 大丈夫な時
2016.10.28 (Fri)
それまで知らなかったような、身体の奥のさらに深いところの肉壁を、
無理やり押し開いてくる快感に、
細い声をあげて、胸元を仰け反らせましたが、
自分のもの、根元まで、すっかり受け入れて悶える私の身体を、
満足そうに見下ろしながら、だんな様、こう言ったんです。
「ほら、僕のこと、しっかり見るんだよ」
そう言われて私、涙に濡れたまぶたを、そっと、開くと、
今、自分の身体と、まぎれもなく繋がっている男の人が、
間違いなく、大好きな夫ではないことを、しっかりと分からせられたのでした。
隔たりさえないと思えるように、夫婦ではない、二人の裸の肌が、しっかりと重なり合い、
自分の濡れた肉壁が絡みついている、夫ではない、だんな様の熱い男の人のものが、
ひくっ ひくっって、脈打つのが分かり、
その度に、それに応えるようにして、
どうしようもなく身体、いやらしく悶えたんです。
抱きしめられ、腰を押し付けられ、男の人のもの、しっかりと迎え入れ、
もう、それだけで、気を失いそうでした。
そして、だんな様の腰、いくらも、動いてもいないというのに、
もう、私、悦びの時に向かう淡い予感が、
あっという間に、私を襲い始めていたのです。
大好きな夫との、くったくのない、楽しい旅行のはずでした。
Nさんとのことは、少しは心配してたけど、
まさか、本当に、こんなことになってしまうだなんて。
ゆるやかな、それでいて、深い快感へいざなう、
だんな様の巧みな腰の動きに素直に応える女の身体。
人妻であること、夫とのこと、そんなことから解き離され、
ただ、男の人としっかりと繋がり、突き動かされている一人の女として、
自分の身体が求める、人妻として迎えてはならない、背徳の悦びの頂に向かって、
諦めるようにして、桃色の喘ぎ声、漏らしてしまっていたのでした。
「感じやすい身体なんだね、それに、ほら、こんなに僕のもの、締め付けてくれてる」
こころは望んではいなかった、けれど、女としての身体が求めた悦びの瞬間、
跳ね上げるように、腰を浮かしてしまったことに驚きながら、
強い悦びの余韻の中に、だんな様の低い声が聞こえると、
薄く開かれたくちびるに、ぞろり滑り込んできた濡れた舌先、
慌てるようにして、絡め吸い付いていたのでした。
しっとりとした幾らかの汗と、恥ずかしい愛液に濡れたシーツに、
深いしわができていました。
その上質な寝具の上で、数えられないほどの悦びに誘われた裸体、
隠すこともできずに、ぐったりと開き、
時折、身体の芯を走る、自分ではどうしようもない麻痺と、
息の止まりそうな喘ぎに、身体を震わせるしかありませんでした。
「思っていたとおりの、素敵な身体だったよ。今夜は、寝かせないからね」
そう言うと彼、しっかりと繋がったままだった身体、また、ゆっくりと動かし始め、
治まりかけた恥ずかしい喘ぎの声が、我慢できずに口元から漏れ出し、
あっという間に、悦びの頂に、またも、襲われようとしたのです。
肩口を抱きしめられ、腰だけが、いやらしい動きを続けると、
もう、既に、何度も犯し続けた私の濡れ切った肉壺を、
あらためて、味わい始めていたんでした。
「大丈夫な時なんだろ」
突き動かされながら、うっすらと涙を滲ませたうつろな目を開きました。
えっ、それって、注がれてはならない、だんな様の男の人の液、
このまま、私の身体の奥に、出されてしまうってこと!
髪を揺らして抗い、
「いやっ、それだけはかんにんして」
そう言ったのに、私の言葉、聞こえないようにして、
当たり前のように、ねっとりと、くちびるを求めてくると、
だんな様の腰、それまで以上に、いやらしく、強く、突き入れられだしたのでした。
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