天草旅行8
2020.10.09 (Fri)
「奥様、すごいんですね。可愛らしいのに、あんなに嫌らしいんだ」
自分ではどうにもできない、治まらない麻痺が、
甘い喘ぎと同時に身体を揺らしていましたが、そんなうつろな耳に、
微かな声が聞こえてきました。
涙に濡れた瞼をゆっくりと開くと、
白い裸の彼女とその後ろに立って、そのふくよかな乳房、
ゆっくりと両手のひらで揉んでいる夫の姿が見えたのです。
「そうたの、ほらっ、あんなに出されちゃって」
二人の目には、今しがた彼から注がれた若い精液が、
うっすらと開いていただろう、私の秘唇から、どろりと、溢れ伝い流れているのが、
見えてたんでしょうね。
「あぁ、私も堪らなくなっちゃた。旦那様、もう一度、お願い」
そう言うと、二人、和室の闇の方に、姿を消したのです。
けだるそうに身体を起こした私、傍らにいた彼の腰に顔を近づけると、
私を悦びに誘い、狂おしいほど求めた精液を注いだ彼の男の人のものを、
お口に含みました。
私のくちびるや舌先に促され、時折、脈を打ち、名残りの強い匂いの精液が、
お口の中に広がりましたが、それは、嫌ではありませんでした。
それどころか、私の身体を悦んでくれた彼と、
その時間に満たされた自分の幸せを、感じてしまっていたんです。
シャワーも使わないまま、彼の匂いに包まれ、
何も身につけないで、身体を寄せ合った夜を過ごしました。
時折、隣の部屋から、夫と彼女の話し声や、明らかな営みの様子が聞こえましたが、
なぜだか、そのことは気になりませんでした。
今、夫ではない、彼の胸に抱かれていることのほうが、
私にとっては大切なことだったのでしょうか。
こうして、天草の旅行は終わり、
次の日、熊本から、夫と彼女は飛行機で、
彼と私は新幹線で、それぞれ、別の帰路を辿りました。
二日後に自宅に戻りましたが、夫はその次の日に帰ってきたんですよ。
申し合わせたように、お互い、その間のこと、話しませんでした。
そうた君と私が、どんな時間を過ごしたのか、
夫はいつかこの日記で知ることになるのかもしれませんね。