天草旅行3
2020.08.03 (Mon)
博多駅のホームに、楽しみにしていた、素敵なAトレインが滑り込んできました。
デザイナーの水戸岡鋭冶先生が設計された観光列車、期待してたんですよ。
パパが予約してくれていた、木製のテーブルが付いた席に、
車内のカウンターで買ったデコポンハイボールを持っていったんですけど、
思わず、そのカップを落としそうになるくらいびっくりしました。
だって、四人掛けの向かい合わせのシートに、
えっ、どうして、どうして、そうた君がいるの。
「一緒にって、きてもらったんだ」
慌てる私を嬉しそうに見ながら、パパ、そう言ったんです。
そうた君のとなりには、小柄な女性が座っていました。
歳はそうた君より、幾つか下だって自己紹介してくれましたが、
どうかすると、高校生って言ってもおかしくないほど、可愛らしくて、
でも、ブラウスを持ち上げている胸は、間違いなく豊かだと感じられたし、
ぽっちゃりしたくちびるも、ねっとりと濡れて肉感的だったんです。
博多駅を出発して、街中を通った後、困惑した心持ちのままの私を乗せて、
のどかな田園の風景の中をAトレインは走っていきます。
これからどんな時間が四人の間に流れるのか、
楽しいお話は続いてはいましたが、やっぱり心配で、
私、時折、ため息をもらしてしまっていたのでした。
テーブル越しの目の前に座り、屈託なく談笑するそうた君。
その端正な顔立ち、コップを持つ男の人にしては、細い指。
そして、性器を繋ぎ合った時に、耳元で聞かされた素敵な声。
その声は、私の身体に響き、その時のこと、否応なく思い出させていたのでした。
初めての、神戸でのパーティーの夜。
人妻であるはずなのに、初めて身体を重ねたというのに、
その若さに突き動かされ、翻弄され、幾たびも、女の悦びに昇り詰めました。
その後も、誘われるがままに、紅色の時間を過ごした奈良での夜。
まぎれもない男の人のしるし、身体の奥底に注がれながら、
傾き始めていた彼への気持ち、叫ぶように告げた夜でもあったのです。
もう、逢わない方が良いって、そう、思ってました。
けれど、彼とそんな関係になってしまった後、
夫婦の営みの時間、最愛のはずの夫に激しく抱かれながら、
こころには、そうた君の笑顔を思い浮かべるようになってしまった、
今の私だったのです。
そんなことを思い出しながら、身体が熱く僅かに潤うのを感じていました。
今、できるはずもないけど、目の前の彼の、若い男の人のもの、
すぐにでも、迎え入れる準備、正直に始めていたのかもしれませんね。
途中、熊本駅で休憩下車、まぁ、新しい駅舎になってたんですね。
その後、きらきらと輝く干潟の広がる海沿いを辿り、終点の三角駅に着くと、
港に接岸していた遊覧船に乗りましたよ。お昼を頂く施設に行くみたいなんです。
松島って言われる松の木々が生えた沢山の島の間、遊覧船がゆっくりと進んでいきます。
船の二階のテラス席から眺めを楽しむと、髪を乱す潮風が気持ち良かったですね。
南国だけあって、それほど、寒くもありませんでしたよ。
「今夜が、楽しみですね」
成り行きのまま、木製のベンチにそうた君と並んで座ると、
そっと、身体を寄せられて、耳元でそう言われたんです。
えっ、何が楽しみなの。天草のお料理? ホテル? それとも。
素敵なデザインの建物の岸辺から伸びている浮桟橋に、
船がゆっくりと横付けされました。
海辺を望むレストランやお土産ショップなどのリゾート風のマーケットです。
オーシャンビューの席で、ワンプレートのシーフードと白ワインを頂いた後、
予約してあったレンタカーで、今夜泊まるホテルに向かったんです。
「まぁ、素敵」
目の前に広がる天草の海や小島が一望出来て、感激しました。
それに、ホテルのデザインも、ちょっと、びっくりするくらい。
私たちが泊まるのは、二つの寝室とベランダに露天風呂があるの離れ。
本館と同じように、海の絶景が眺められて、素敵でしたよ。