山城温泉
2018.09.14 (Fri)
「堪らないんだ、君の身体」
私の耳たぶを優しく噛みながら、熱い息の中でそういった彼、
それまでにも増して、えぐるように、腰を突き上げてきたのです。
それは、男の人が、自分の思いを、女の人の中に、注ぐ前触れであること、
人妻の私の身体に、否応なく思い知らせたのでした。
「このまま、出してあげるから」
そう言い終わらないうちに、
彼の息遣いがそれまでにも増して、荒くなったのがわかったのです。
朦朧とした潤んだ瞼を開くと、
彼の厚い胸板に、両手を当てて、幾らかの抵抗の気持ちを表しました。
これまでの彼との営みの時間で、それは初めてのことではなかったし、
心配な時期ではなかったけど、
夫ではない彼の生のままの精液を、このまま身体の奥に注がれてしまうこと、
当然ながら、人妻として、居たたまれないことだと思えたのです。
けれど、その僅かばかりの抵抗は、彼にとって、殆ど、意味をもつことなく、
たわわなあ乳房を揺らして、幾らか抗って仰け反った私の白い裸体は、
むしろ、彼を楽しませたのに過ぎなかったのでしょう。
「さぁ、一緒に、良くなるんだよ」
左右に髪を揺らし、彼の強い突き上げに耐えていた私、
その余りの快感に、我慢できない恥ずかしい桃色の声、聞かせ続けていましたが、
とうとう、彼の求める悦びの頂、
もう、すぐそこに迫ったこと、細い叫び声をあげて告げていたのです。
「欲しいんだろう、僕のもの」
そんな彼の言葉に、二度、三度、髪を揺らしました、
でも、それは、正直な気持ちではなく、
彼を迎え悶える私の桃色に染まった身体が、
その答えだったこと、きっと、彼、分かっていたのでしょうね。
人妻でありながら、夫ではない男性の、汗で滑る広い背中、
喘ぎの中両腕でしっかりと抱き締め、
そして、言われもしないのに、これ以上は無理だと思えるほど、
自ら開いてしまっていた白い太ももの間で
激しく突き動かされる逞しい腰には、
身体の求めるもの、もっともっと深く、そして、もっともっと奥に欲しくて、両足を絡め寄せていたのです。
「さぁ、いっぱい、あげるよ」
それまで、両肘で身体の重さを私に感じさせないでくれていた彼、
とうとう、覆いかぶせるように身体を倒してくると、私の身体を両腕で抱き締め、
荒い掠れた声で、そう言ってきたんです。
めくるめく瞬間の訪れを察した私、
理性の抗いが溶け、後は、彼を迎え熟れ始めた、女の身体の望みのおもむくがままに、
恐ろしいような悦びの頂に昇り詰めること、許しを請いながら告げていたのでした。
「あぁ、なんて締まるんだ」
それまでには感じられなかった、慌てた曇った声を聞かされ、
それまで以上に、身体が浮き上がるほど激しく動いていた逞しい腰が、
二度、三度、更に深く、強く突き入れられ、
身体の奥のもの、大きく膨れ上がり、おびただしい量の熱いものが、
注がれ出したことが感じられた瞬間、
目の前が真っ白になるような、悦びの頂に、昇り詰めていったのです。
ほんの、僅かな時間だったのでしょう、
薄っすら意識が戻ると、重なった二人の身体が、まだ、繋がり合ったままなのに気が付きました。
「ほらっ 締まってるよ」
硬さを失わない彼のもの、私の濡れた肉壁が、言われたようにじんわりと締め付け、
彼の名残の液を一滴残らず搾り取っていること、感じられました。
それは、私がそうしているのではなくて、男の人のもの、もっと欲しがっている、
私の身体がしていることだったのです。
そして、今、身体の奥を満たす彼のしるしと、今朝、夫から注がれたしるしとが溶け合い、
私のたまご、競うようにして探しているようにも思えたのです。
「君の中は、僕のために、生まれてきたようだよ」
彼から前に、そう言われたことがありました。
けれど、今、性器を繋ぎ、恥毛を絡ませ、悦びの頂点を、上手に合わせあった二人、
言われた通りだと、諦めるしかなかったのです。
身体の麻痺と喘ぎが治まりかけると、彼の手のひら、もう一度、私の身体中を這い回りました。
「思い出深い夜にしようね」
そう言った彼の温かな手のひら、あれほど楽しんだたわわな私の右胸に、被さってきたのです。
身体の相性、今夜も思い知らされてしまった私、
ベッドのサイドテーブルに上には、ルームナンバーに飾ってあった可愛らしいお花が、
私のこころの移ろいのままに、そっと、置かれていたのでした。
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