2ntブログ
01月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728≫03月

一条戻り橋4

2018.02.18 (Sun)


1485744443.jpg

「ここなんだよ、仕舞屋造りなんだ」
そう言って、懐かしささえ感じる優しい音とともに、
誘われるがままに格子戸を潜り抜けると、
出窓格子からのうっすらとした光が、建物の中の向こうまで射し込んでいました。

mainimg-18.jpg

あぁ、前に書いたことがある、留学生のボブのところも、
ここよりはずっと狭かったけど、
町家と呼ばれている、こんな建物だったこと、思い出していました。

「子どもたちも独立して、独りだからね。でも、リフォームには随分かかったんだよ。
 ちょっとしたマンション、買った方が安いくらいさ」

昔からの、京都の町家の間取りを活かしながらも、
床も壁も、吹き抜けの天井もモダンな設えで、裏庭の苔庭の可愛らしい木々なども、
本当に素敵に出来ていました。

nana1.jpg

外見からは、きっと、想像できない洋風なフローリングの部屋、
興味深げに見ていた私の視線の先に、
あらっ!これ、さっき、清明神社でみた、あの、五光星の置物が、
微かな光を放ちながら、光っていたのを見つけました。
「あぁ、それ、清明の力が、少しでももらえるかなぁって。
 ちょっと待っててくれる、飲みもの持ってくるから」」

mig.jpg

そう言って部屋を出ていった、まぎれもない彼の声だったのに、
レストランで重ねてしまったお酒の酔いのせいでしょうか、
それとも、その五光星から放たれた怪しげな光のせいだったのでしょうか、
急に、めまいのようなものを感じ、
身体にまとわりついた何本の手に引き下ろされるようにして、
ふらふらと、傍らの趣味の良いソファーに、座り込んでしまった私。

そんな私の身体を包み込むように、
どこからか、彼のものではない、低い響くような声が聞こえてきたのでした。

「あなたとの契りを求める男の祈りをかなえるために、
戻り橋の下で、式神たちと逢わせたのです」

えっ! 式神って、あの陰陽師が使う妖怪? 
あぁ、もしかして、戻り橋の濃い影の中で擦れ違った、あの人たちのこと。

肌触りの良いソファーに寄り掛かるしかなかった私、
その言葉さえ、虚ろな頭の中では、
蕩けるようにしか、聞くことしか出来なかったのでした。


「ほら、すごいでしょ。
あれ、入れられちゃったら、女がどうなっちゃうか、
あなたも人妻だからわかるわよね。
旦那さんには悪いけど、一度知ったら、もう、
あなたの身体が忘れられなくなっちゃうわよ」

sex_5165-158s.jpg



関連記事
11:32  |  「順子の日記」  |  Trackback(0)  |  Comment(14)
 | HOME |