一条戻り橋
2018.02.05 (Mon)
午前中の柔らかな日差しが、バスルームに差し込んで、
熱いシャワーの雫に溶け出したソープが、
自分でも豊かだと思える白い乳房の間を、
くびれた腰を、そして、太ももの間を、
ゆっくりとしたたり流れ落ちていきます。
久しぶりにお逢いする、夫ではないその人のために、
自分の裸の身体をもっともっと美しくするために、
濡れた両手を身体に這わせると、
身体の奥から、思いもかけない熱いものが、
少しずつ湧き上がりだしたようにも思えました。
シャワーが止まると、どこからか、微かに小鳥の鳴き声が聞こえてきて、
私は、彼とのそんな時間が、段々と幕を上げようとしていることに気付き、
そっと、まぶたを閉じたのです。
「困ります、明日だなんて。あなたにお逢いすること、まだ、主人にも話してないし」
そんな、いくらか慌てた私の言葉に重なるようにして、
「きっと、あなたは、来てくれるさ。あの時みたいに」
そう言って切れた電話を、そっと、テーブルの上に置いた、昨夜だったのです。
数年前、私の住んでいる街でお逢いした人。
奥様に先立たれ、寂しくされていると、茶屋の女将さんから聞いていましたが、
その時は、皆様にはお話していない、思い出深い時間を過ごしました。
彼と過ごした二日間のことは、下からどうぞ。
「百万石まつりの夜」
「百万石まつりの夜7」
「百万石まつりの夜8」
尚 「百万石まつりの夜」は、1~11まであります。
月間アーカイブの、2015年6月分から探して読んでみてくださいね。
あの夜、茶屋のお座敷で二人きりで過ごした時、勧められるままに杯を重ねた私、
目の前にいる素敵な彼との、あるはずのない恥ずかしいこと、思ってました。
そんな私のこころの中で、女将さんが言った言葉、
「ほら、すごいでしょ。
あれ、入れられちゃったら、女がどうなっちゃうか、
あなたも人妻だからわかるわよね。
旦那さんには悪いけど、一度知ったら、もう、
あなたの身体が忘れられなくなっちゃうわよ」
断ってもよかったのに、
彼から告げられていた約束の場所に、従順に辿り着いていたのです。
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