一条戻り橋3
2018.02.14 (Wed)
「ここも、面白いよね。知ってる?」
幾らもしないうちに着いたのは、あらっ、ここ、晴明神社。
平安時代に活躍した陰陽師、陰陽寮で占いや祭祀を司った人ですよね。
鳥居をくぐると、清明縁の五光星がデザインされた井戸がありました。
洋の東西を問わず使われている、あの魔術の記号、
ペンタグラムとかデビルスターとも言われるものです。
学生時代、有職故実の授業の時に、幾らかお勉強をしたことがありましたし、
最近は、夢枕獏先生の作品で、映画にもなってましたよね。
「あなたの専門かもしれないけど、当時の人たちって、占いって大事だったんだね」
「そうですね。方違えなんかも、大切なことだったみたいだし」
「方違えか、今日、あたなとこうして向かう方向って、吉なんだろうか、凶なんだろうか」
二人の向かう方向っていう言葉に、ちょっと、どきってしました。
奥様を亡くした彼と、
そして、夫ではない人と、
こうして寄り添う合う時間を過ごす人妻であるはずの私。
いったい、どこに、向かおうとしていたのでしょうか。
そして、それは、吉なのでしょうか、それとも、凶なのでしょうか。
境内の奥の本殿で手を合わせながら、そんなことを思っていたのでした。
北山駅の直ぐ近くの洋食レストラン、京都にお住まいなら、
ご存知の方、多いでしょうね。
私も、叔父さんたちに何度か連れて行っていただいて、
美味しい料理を楽しんだことがありました。
でも、今夜は、予約していただいていたもったいないような個室での、
おまかせのコース料理みたいです。
トマトのコンフィのアミューズ ブーシェから始まり、
食前酒はキールをお願いしましたが、美味しかったです。
リキュールとワインのカクテルで、ちょっと、強かったんですけど、
今は、いろいろなこと、忘れたかったのかもしれませんね、
ちょっと、飲み過ぎたみたい。
オードブルは、バプールとコンソメジュレって、よく覚えてるでしょ。
テーブルに置かれていたコース料理のメニュー持って帰ってきて、
今、ここにあるんです。ふふ。
食事を終えると、彼、タクシーを呼び、
私、背中を押されるがまま、車中の人になりました。
「すぐ近くなんだ」
どこが?って、そうも思いましたが、
その時には、もう、両側に町家の続く細い石畳の路地に、降り立っていました。
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