2ntブログ
02月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫04月

弘前の雪景色

2016.03.12 (Sat)


ひがし茶屋街の鮨処「みつ川」。
驚く程増えた旅行の皆様の喧騒、
ちょっと離れただけで、避けられて、やっぱり、ほっとしますね。

be9e76f4.jpg

ここに越してこられて、もう、何年になるのかなぁ。
よし君に初めて連れられて行った前の店、
その味と、お店の雰囲気に魅せられて、
今のところに新しく移った後も、主人と二人で夜にゆっくりと、
それから、桐子さんたちとランチでも、よく来てるんですよ。
最近は「鮨 歴々」って、姉妹店を近江町に出されてもいるんです。
ご主人、まだお若いのに、すごいなって、思います。

遅れたら申し訳ないからって、随分、早めに着いたのに、
前と同じで、お店に続く細道への入り口で、
爽やかな笑顔見せながら、小さく手を振ってくれてました。

「すいません、いつも、無理言って」
そう言って、私の盃に、石川県のお酒「黒帯」を注いでいただきました。
気持ちよく磨き上げられた広めの清潔なカウンター、もうそれだけで、気分がいいんです。

c0282432_14362284.jpg

「そんなことないですよ。京都では、ありがとうございました」
「本当に良かったんですか、今夜」
「えぇ、主人出張なんですよ。富山に」
そう言って、お酒、お注ぎしましたよ。
なぜだか少しだけ、手、震えているのわかったかしら。

「ご主人のいないそんな夜に、誘ってしまって」
「今夜逢うって、話してありますから」
私、ちょっと、微笑んで、盃い、くちびるに当てました。

20150920140609-c2a6378f29dbc379d82bd10ec5db97b6eeded4ae.jpg

この「みつ川」で、初めてお逢いした時のことや、
東京で案内していただいたスカイツリーでの夜、
そして、紫式部のお墓に連れて行ってもらった夏の京都、
その時のことが話題なって、楽しい語らいでした。

「弘前も良かったですよ」
「あぁ、秋に行かれたんでしょ、コメントに書いてあったわ」
「紅葉も良かったけど、今頃は、雪景色が素晴らしいでしょうね」
「私、青森って、行ったことないんですよ」
「そうですか…、どうです、ご一緒に」
「えっ!」
「雪景色に囲まれた露天の温泉、そして、じゃっぱ鍋」
「まぁ、素敵。いいですね」

そう言いながら、蔵元さんのお酌、もう一度受けると、
そっと、目を閉じたのでした。

09260005_DETAIL_PICTURE_20111129181819.jpg


柔らかな餅雪、白い裸の肩に、そっと落ちたのが分かりました。
もう一度、タオル、胸元に当て直しましたが、
隠し切れない、恥ずかしいところ、見られちゃいそうです。

014132.jpg

東屋に目隠しの板を張った、露天風呂のすぐ傍らにある女性用の更衣室、
浴衣を脱いで、そこから、そっと出たつもりでしたが、
それまで、聞こえていたと思えた人の声、
急に静かになったような気がしました。

黒い平たい岩で作られた数段の階段が、湯船の中にまで入り込んでいて、
そこまでいけば、白濁した温泉に浸かれるのだから、
裸の身体、見られることないんだけど、
なんだか滑りそうで、一歩ずつ、ゆっくり降りるしかなかったんですよ。

薄茜色のおぼろげないくつかのライトの光が、
いくらか葉の残った落葉樹に囲まれた、広い岩風呂をぼんやり差していましたが、
その中に、数人の人影を見ることができました。

でも、傍らの手すりに右手を添えたので、
タオルの端がずれてしまって、胸、あからさまになっちゃったんですよ。
やだぁ、もぅ。
でも、温泉だから、仕方ないですよね。

6409000100022.jpg


あぁ、いい気持、それほど熱くない白い温泉のお湯、いつまでも入っていられそう。
あら、岩陰の方から、手招きしてるわ。
私、自分の身体に注がれるいくつかの視線を感じながら、
肩までお湯に浸かったまま、ゆっくりと、近づいたんです。

「あぁ、恥ずかしかった」
「君の裸、近くでしっかりと見られたんだから、男性には幸いだったよね」
「やだぁ、そんなこと、言わないでくださいよ」
「仕方ないよ、温泉なんだから」
そう言うと、それまで離れていた二人の肩が近づき、そっと、肌が触れ合ったんです。
「いいでしょ、雪景色の温泉」
「えぇ、本当に、連れてきていただいて、良かったです」

広い岩風呂の周りは、たっぷりとした雪景色、
その雪を茜色のライトがうっすらと照らしていました。
時々、黒々とした樹々の闇の間から、しずり雪の音が聞こえてきて、風情ありましたよ。

そっと、裸の肩を抱き寄せられました。
えっ!って思いましたが、抗いはしませんでした。
乳白色のお湯の下に、タオルで隠し切れない乳房がいくらか透き通って見えていましたが、
その揺れるタオルの横から、そっと、手のひらが差し込まれると、
ゆっくりと、その柔らかさを包み込み始めていたんです。

00670.jpg

身体の芯に、赤いものが湧き上がる様に感じて、
私、その手のひらの動きに応えるように、後ろの岩に身体預けたのです。

cf148b24-s.jpg

あご先を少しだけ仰け反らせると、
うっすらと開いた視線の彼方の先に、
日頃街では見ることのできない、煌く満天の星空がありました。
そして、膨らみを這っていた指先が、固くなりだしていた乳首に触れたそのとき、
今まで、見たこともないような大きな流れ星、その漆黒の空を鋭く分けるように走ったのです。

P5041090_fc2_0120506_oboroduki.jpg



関連記事
12:29  |  「順子の日記」  |  Trackback(0)  |  Comment(11)
PREV  | HOME |  NEXT