雪のスカイラウンジ
2015.03.04 (Wed)
何度も書きますけど、今年の雪はすごいですね。
私の住んでいる住宅街の街路樹も、見たことのないような深い雪景色。
でも、夜は街燈に染まって、綺麗です。
昨夜も、パパと一緒に、雪を見学に暫く散歩したんですよ。
リビングの部屋の中に、ノックターンの調べが流れています。
小学校の時練習した曲ですが、やっぱり、素晴らしい曲だと思います。
最近ピアノの方、ちょっと、ご無沙汰なんですけどね。
手にしていたコーヒーカップ、ゆっくりとソーサーに戻すと、
お出かけの準備のため、立ち上がりました。
今日は、桐子さん、葵さん、そして、里子さんと、
午前中、春物のセーターとスキーの小物を見た後、ホテルでランチを楽しむ予定なんですよ。
ドレッサーに、下着姿の自分を映しました。
パパから、いつも愛してもらっている白い身体、もっと綺麗になって、
もっと、もっと抱かれたいと思うんだけど、
パパと里子さんとのこと、やっぱり、心配なんです。
葵さんの行きつけのブテイック。
お店の前で待ち合わせだったので、
一人で、せせらぎ通りをぶらぶらして、ウインドショッピング楽しんでたら、
「お綺麗ですね、ありきたりなお誘いですが、お茶でもいかがですか」って、
ロマンスグレーの素敵な紳士から、声、掛けられました。
仕立ての良いジャケットに、低い声、ちょっと、慌てていたんですけど、
ちょうと、そこに、桐子さんたち、
「あら、順子 お誘いなの。電話番号聞いて、また、夜にでもお逢いしたら」って、
もう、やだぁ、助けてよ。
結局、電話番号の書いてある、プライベートな名刺を頂いて、お別れしました。
多分、連絡することないんでしょうけどね。
お店では、四人でワイワイ。
自分とパパ、それに娘たちに、春らしい色のアンゴラの薄手のセーター頂いて、
自宅に配達してもらうことにしました。
ショッピングって楽しいですよね。
女性たちにとっては、気分転換ストレス解消にもなるんですもの。
その後は、いつものホテル、30階のスカイラウンジでランチ。
いつもの、大好きなパンケーキ、そして、いつものように、ワインも頂きました。
「残念だわ、白馬のスキー場、久し振りだったのに、
ほら、あそこって、コースが多いから楽しめるわよね」
「桐子さんたち、楽しみにしてたのに、法事だったらしょうがないわ」
「主人の父親の法事なのよ、私のこと、とっても大事にしてくれた素敵なお父様だったわ。
主人も楽しみにしてたのよ、スキー、また、順子に会えるって」
私、どきって、しました。
やめて、そんなこと、言いださないで。
「順子、Tさんと時々会ってるんでしょ、Tさん、何て言ってるの、桐子」
私の心配知らないようにして、葵さん、そう、続けたのです
桐子さん、慌てる私を、喜ぶように見ると、小声で話し始めたんです。
「初めてのころは、何も言わなかったけど、ベッドの上でしつこく聞いたのよ。
順子の身体、どうだったって」
皆、静かになって、桐子さんの話に、興味津々、
「順子のって、小さくて、狭くて、すごく絞まるんだって、
それに、このおっぱいでしょ、 揺れるの見てるだけで、ふふ、出そうになっちゃうんだってよ」
私、両手を顔に当てて、俯くしかありませんでした。
「それに、いつもは大人しい顔してるのに、ベッドの上じゃ叫んじゃって、すごいんだって、
ねぇ そうなんでしょ、順子」
「桐子さん、Tさんとのこと、ごめんなさい」
応えられるはずもなく、私、顔真っ赤にして、俯くしかなかったのでした。
「まぁ、駄目よ、Tさんのこと、骨抜きにしちゃったら」って、葵さん。
「いいのよ、その分、主人、順子の話すると、その後、なんだか、すごく元気なんだから、
でも、赤ちゃんだけは、気をつけてね」
そう言う桐子さんの可愛らしいお口に、小さいパンケーキ、消えて行ったのです。
でも、私、下を向いたまま、本当は安心してたんですよ、
今後のスキー旅行、Tさんが来ないこと。
もしも、一緒だったら、この間の別荘での夜のようなこと、
また、起きるかもしれないから。
でも、里子さんたち、来るんですよね。
だったら、パパとのこと、やっぱり心配しなくちゃいけないわ。
いいわ、今度は、私。パパにしっかり、噛り付いてるから。
渡さないわよ、里子さんに。
だって、大好きな、大好きなパパなんだから。
「あらっ、また、雪だわ」
そう言った葵さんの言葉に、促されるようにして見たみんなの視線の先に、
それまで止んでいたと思っていた雪が、また、静かに降り始めていたのでした
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