山城温泉7
2018.10.23 (Tue)
昨日、二度、私の身体の中で思いを遂げた彼、
二日目も夜遅くまで、私の裸の身体、離してはくれませんでした。
そして、この旅行で、最後になった三日目の朝、
朝食を終えた後、お湯を使って帰り支度を終えた私でしたが、
内線で彼の部屋に呼ばれました。
ドアを開くと、窓際の椅子に座っている彼の後ろ姿が見えました。
「こっちにおいで」
私に気づいたのでしょう、そう言って、小さく手をあげました。
お帰りの用意、もう、できたのかしら。
そう思いながらNさんの近づいて、その時、気づいたのでした。
上着は緑色の趣味の良いポロシャツを着ていたのに、
下には何も履かないで、椅子に座っていたんです。
「もうすぐ、お別れだと思うと、ほら」
そう言うと、もう、先から透明な液を滴らせ、怒ったように膨れ上がった彼の男の人のもの、
ゆっくりと擦り上げていたんです。
私を、幾度となく強烈な悦びに誘った、そして、狂わせたそれを見せつけられ、
彼が、今、どうして欲しいのか、すぐにわかりました。
そんな私に、追い打ちをかけるように、
「裸になってごらん」
とんでもないことのはずなのに、身体の隅々まで知られた、他人ではないせいでしょうね。
言われるがまま、私、小さな息をひとつ漏らすと、
ゆっくりとワンピースのボタンを外し、下着を脱ぐと、傍らの椅子に掛けました。
私、ふらふらと彼の前に膝間突き、息を弾ませながら、
私を狂わせたものに頬摺りしていたんです。
ワイパーが規則正しく、折悪く降りだしていた細い雨粒を、拭き取り続けていました。
二日前に私を降ろした駅に来ていた主人の自動車に乗り込むと、
何も言わないまま、目を閉じたのです。
お口の中に注ぎ込まれた、青臭く強い匂いの、おびただしいNさんの精液が、
今、身体の隅々にまでに、ゆっくりと染みわたっているのが分かりました。
「これが消える前に、また、逢おうね」
私がブラを付ける前、乳房に自分が付けた淡いキスマークに指先でなぞり、
Nさん、そう言いながら向けた、満足げな笑顔を思い出し、
私、胸にこみ上げるものと同時に、目頭が熱くなるのを感じていました。。
夫は何も言いませんでした。私は何も言えませんでした。
自分ではない男に、大切な妻を抱かれた夫と、夫ではない男の人に、抱かれた妻。
私たち夫婦と、Nさんたちとの関係が、これからどうなっていくのか、
その時は、何もわからないままだったのです。
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