城崎旅行11
2018.07.18 (Wed)
声にならない声を聞かせながら、たわわな胸を揺らしながら仰け反った私、
けれど、目頭が熱くなるのを感じていました。
地中海の客船、バルコニー越しに青い穏やかな波間が見える清潔なシートの上で、
抗いながらも、彼のもの、幾らの隙間もないほど、身体の奥に迎えさせられ、
恥毛を絡ませ合い、朦朧とするまで、犯され続けたあと、
思いのたけを、注ぎ込み、私のお口に名残の液を滴らせた彼のもの。
マルセイユでは、遠くにノートルダムドラガルド寺院を見ながら、
彼の男の人のもので、しっかりと動物たちのように繋がり合い、
恥ずかしい声を叫びながら、自ら彼のものを求めるように、腰、振り続けていました。
けれど、今、頬を伝う涙は、
そんな風に私を狂わせた彼のものを迎えたからではありませんでした。
それは、そんな風に私を狂わせた彼のもの、
台湾の夜のときと同じように、
そして、昨日、二人だけの家族湯で抱き締められた時と同じように、
迎えられないことが察せられた、悲しみの涙だったのです。
それは、紛れもなく、人妻ではない、彼の恋人としての涙だったのかもしれません。
「お仕事が忙しくてって、それがいけないのかしら」
そう、奥様が言われていたのを思い出していました。
「台湾旅行」の夜のことは、こちらからどうぞ
私の薄っすらと開き始めていただろう、
彼のものを求めて愛液にまみれた秘唇に、
私の身体を貫くには、猛々しさの足りないままの彼の男の人のもの、
何度も、擦り付けられましたが、
とうとう、諦めたのでしょうか、
息を荒げながら、たわわな乳房の谷間に、
自分のもの埋めようとして、私の胸元に腰を移してきたのでした。
月のなかで、主人を迎えられないとき、
私の胸を使って、たいせつな主人の、たいせつな精液、
谷間に出してもらうこと、私たち夫婦にとって、珍しいことではありません。
胸の膨らみを、柔らかさを、どう使えば男の人を悦びに導けるのか、
それは、大学時代、男の人と女の人の営みの全てを、完璧に教え込まれたM先生から、
幾度も、求められたことでもありました。
虚ろな目を開き、Nさんの求めることを察した私、
たわわな乳房を寄せると、彼の男の人のもの、両側から挟み込み、
慌てるようにして、揉みだしたのです。
恥ずかしくて、切なくて、細い声が漏れるの、我慢ができませんでした。
でも、彼が求める本望を遂げられないのなら、
本当はそうじゃなくても、少しでも、悦んでもらいたかったのでしょうね。
幾らもしないうちに、
彼の曇った声を聞かせられ、白いたわわな乳房の谷間から覗いていた、
彼の男の人のもの、急に固く太くなったと思うと、
跳ね上がるようにして、驚くほどたくさんの、熱い彼の印、噴き上げたのです。
それは、私の白い胸の谷間に、あごに、くちびるに、
そして、頬にも、降り注ぎました。
温かさと、青臭い強い匂いが、私を包みました。
私のこと、求めてくれた彼に、
女として、何にもしてあげられないことが申し訳なかったけど、
頬をゆったりと流れ伝う彼のまぎれもない印を感じながら、
仕方のないことだと、その時は、そう諦めるしかなかったのでした。
清々しい、柔らかな朝の涼風が、
温泉街の端にある東山公園の灰色の展望台に、
重なるようにして佇む、Nさんと私の傍らを流れていました。
「これからも、僕の恋人でいてくれるかい」
既に他人ではないはずの、そんなNさんの言葉に、一瞬、私、言葉を探しましたが、
繋いでいた手を、思わず、そっと握り返してしまったこと、
言葉にはできない人妻である私の、正直な応えだったのかもしれませんね。
見下ろした視線の先には、
二日前に降り立った城崎温泉駅の、ホームに掛かる跨線橋の横に、
急行でしょうか、発車を待っているらしい白い電車の屋根が、
朝靄の中に見えていました。
午後には、あのホームから、それぞれの街に帰る予定のNさんと私、
それは、これからの私たちが、どんなふうに向かっていくのか、
その時は何も、分からないままだったのです。
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