大雪の別荘で3
2015.02.06 (Fri)
残り物をそのままのお皿で冷蔵庫に入れてしまうと、
後は、各自の取り皿とコップを洗うだけでした。
いつもは、女性たちでわいわいと片づけるんだけど、
あらっ、今夜は私だけ?別にかまわないけど。
最後のお皿を洗い終えた私、
手を拭きながら自分たちの二階の部屋に向かいました。
けれど、その途中で、なぜだか、はっと気が付いたのです。
私たちの部屋に、パパ以外に人がいること。
ドアを開くまでもなく、廊下にまで、その声、微かに漏れてました。
それは、明らかに、
男女の営みのとき、女性が聞かせてしまう悦びの声だったのです。
やだぁ、私がくるってわかってるはずなのに、
妻として納得できないまま、さっきまでいたリビングに降りると、
フローリングの窓際に置かれた、二人掛けのソファーに腰を下ろしたのでした。
夕食のときより更に光量を下げた部屋の中、
暖かい暖房と酔い、そして、思いもよらない成り行きに、
ゆらっとした眩暈を感じましたが、その時、隣の和室のドアが開かれたのです。
「おや、どうしたの。ああ、そうか、あいつを里子に取られて居場所がないんだ」
そう言いながらTさん、ゆっくりと私の方に近づいて隣に座ると、
少し強引に肩を抱き寄せたのでした。
素肌の肩を、Tさんの手の平がなぞり、
さっきと同じように、長い髪の下に隠れた耳元に、
熱いくちびる 触れてきたんです。
「駄目よ!」
勿論 私、そう言って、抗いましたよ。
彼の舌先が、耳元を這い回り、そして、耳たぶをそっと噛んだのですもの。
「いやっ、かんにんして」
身体を揺すって、その温かな舌から逃げようとした私に、彼ったら、
「いいだろう、ほら、もう、他人じゃないんだから」
熱い息の中でそう言って、
ベビードールの胸元を大きく開くと、手のひらを滑り込ませてきたんです。
本当は聞きたくないその一言と、
ゆっくりと揉まれた乳房からの甘い快感に促された私、
彼の肩口に、そっと頬を寄せてしまったのです。
大好きな主人が、すぐ近くにいるというのに。
けれど、その主人は、今、妻ではない他の女性と抱き合っていること、
それが、私を混乱させたんでしょうね。
いくらもしないうちに、当然のように求められたくちびるさえも、
私、殆ど抗うことなく、許してしまったのでした。
逃げる私の舌に絡みついた彼の長い舌、そして、息が止まるほど強く吸われました。
「さぁ」
Tさんに促されるように引き起された私は、
そのまま、リビングの隣にある日本間に、抱かれるように連れていかれ、
Tさんたちのものである、上質な布団の上に二人、絡まるようにして横になりました。
「嫌! 堪忍して」
けれど、その時には、彼のくちびる、もう、私の左側の乳首に吸い付いていて、
私の全身から、あっと言う間に、身に着けているものがなくなったのです。
リビング同様、温かではありましたが、
恥ずかしくて、両手で胸元を隠しました。
既に、身体の関係があるTさんでしたが、
それは、夏の朝の慌ただしい営みで、
こんなして、裸の身体を見られること、これが初めてだったのです。
そんな両手を引きはがすようにすると、
彼、私の身体、上から見下ろしているのが分かりました。
顔を横に向けて、目をしっかりと閉じて、
その視線から逃れるようにしたつもりだったのに、
「あの時は、こんなふうにして、順子の身体、見られなかったから」って。
そして、ゆっくりと、自分の身体、多い被せてきたのです。
部屋の温度以上と思われる、熱い彼の身体が重なり、
私、もう、観念するしかないって、そう、思ったのです。
思い出せない、彼の良い香りが私の身体を包んでいました。
くちづけを受け、乳房を愛され、
気持ちとは裏腹に、私の身体、Tさんを迎える準備を終えていました。
呼吸をするたびに、秘唇から、知られたくない恥ずかしい透明な蜜液が、
溢れ漏れていたのが、自分にも分かったのです。
「今夜は、ゆっくりと順子の身体、楽しませてくれよ」
その言葉の終わらないうちに、
彼の、驚く程熱い男の人のものが、私の濡れそぼった秘唇を押し広げ始めました。
あなたがいけないのよ
Tさんのもの、少しずつ迎え入れながら、
今、ここにはいない大好きな主人に、私、そう言うしかなかったのです。
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