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よし君とのそれから4

2014.10.11 (Sat)

朝方の弱い雨が、私のまぶたをうっすらと開かせました。

「大切な日なのに」

今日は、よし君の結婚式。私も招待されているんですよ。
隣のベッド、静かな寝息を立てている、パパの肩が見えます。
ごめんなさい、パパにもいろいろ心配かけたけど、
よし君とのこと、今日でけじめができるわ、って、そう思いました。

午後からの式だったので、ゆっくりと二人で朝ごはんを食べ、
着替えを始めたんです。
心配していた雨もあがり、爽やかな薄い色の青空になりました。

前にも書いたように、小さいころから母親に躾けられ、着物は慣れてます。
着付けも一人でできるし、義母たちの着付けのお手伝いもしてたんですよ。
「順子さんに着付けもらうと、一日中ぴしっとしてて具合がいいわ」って、
言ってくれるんですよ。


「着物って、下着つけないんじゃないの」って、パパ。
リビングの隣の和室で、着付けする私を見ながら、そう言うんです。

「そんなことないのよ。ちゃんと、和服用のブラだってあるの」
ふふ。パパ、残念ね。

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「ごめんなさい、夕食」
「いいよ。今夜はTたちと会う予定だから」
「連絡してね、パパと一緒に帰りたいわ」
そう言うと、草履をはく前の玄関で、背伸びしてキス、おねだりしたんです。
午後からの、暫くの時間、
よし君のことが、こころ満たす時間になること、許してね。



ホテルの会場で受け付けを終えると、
Yさんたちご家族と、ウエルカムドリンクのシャンパンを頂きながら談笑。
前と違って、結婚式随分とラフになりましたよね。

近くを通る何人もの人から、きれいな方ね、って、言っていただきました。
着物の色合いが良かったのかしら、嬉しいわ。

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新婦のご親戚の方が、翁先生にご挨拶にこられました。
「先生と縁ができて嬉しいですね」
そう言うと、翁先生の隣に寄り添っている私に気付き、
「こちらは、お嬢さん? いや、そうではないですよね」
「あぁ、まだ紹介してませんでしたね。新しい家内です」

翁先生の冗談だったのに、ご親戚の叔父様、目を丸くされて驚かれていました。
「主人がお世話になっています」って、言ったら、もっと、可笑しかったでしょうね。
ふふ。


披露宴の時間になったので、席に着きました。
先生のお世話をするためだったのでしょうね、
親戚ではないのに、翁先生のお隣に席が用意してあったんです。
ナプキンを広げて、お膝に広げてあげましたよ。

暫くして、華やかなライトの中を新郎新婦入場。
始めてみる新婦、まぁ、綺麗な人だわ、
純白のウエデイングドレス、良く似合ってて。
胸元の真っ白いふくらみがこぼれそう。

「あらっ おっぱい大きいのね」
「よし坊、グラマーな女性、好きだから」
「そうね、順子さんみたいな」
Yさんたちがそう言うと、皆、私の方を見たんです。

やだぁ、でも、今日は着物で良かったわ。
私、恥ずかしいそうに、胸元の重ねを直したのでした。

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お祝いのご挨拶が続きます。
私の席から、ひな壇にいるよし君、随分と遠くに見えました。

始めてYさんの事務所を訪れ、紹介されたときの初々しく思えたよし君。
我慢できずに、曇った唸り声を上げ、
私の胸元に、たくさんの男の人の液を出したよし君。
そして、彼の逞しいもの、
始めての女性として身体の奥に迎え、ふたりが他人ではなくなったあの夜。

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そんな時間が思い出され、
今、お互いの席の距離以上に、遠い隔たりが感じられて、
私、うっすらと涙を滲ませていたんです。
目頭をそっとハンカチで抑えた私に気付いた奥様、

「順子さんにも、ずいぶんと無理を言って」

二人のことの、何をご存じで、何をご存じでないのか、
その時の、私にはわかりませんでした。
だた、二人にとって、今日の日が、はっきりとした区切りになることは、
間違いのないことのように思えたんです。

弁護士と会計士のお嬢さんとの結婚とあって、
この街の著名人がたくさん出席されていましたが、
その他に、お若い方も多くて、大いに盛り上がった披露宴でしたよ。

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お料理のメインは、フォアグラ。
苦手な方もいらっしゃるって聞いてことがありますけど、
まったりとした味で、美味しかったですよ。
私は、大好きです。皆さんは、いかがですか。

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お酒はスパークリングワインを頂きましたが、
私が、好きだってこと知って、翁先生からずいぶんと勧められ、
ちょっと、飲みすぎてしまいました。
「先生、もう、無理ですよ」って、胸元に手をあてて言う私のグラスに、
嬉しそうな眼差しの翁先生が、ほら、また、継ぎ足すんですもの。

「駄目だよ、父さん。順子さんに、そんなに飲ませちゃ」
「いや、順子さん、飲みっぷりがいいから」
「いいんですよ。私、美味しくいただいてます」
そう言うと、私、
何かを吹っ切るように、グラスを傾けたのでした。

宴の途中で、新婦が既に身重であることが披露されました。
「まぁ、できちゃった婚なの」
うつむいて恥ずかしいそうにしている彼女の白い身体の奥に、
私も泣きながら求めたよし君の男の人の液、きっとたくさん注がれて、
二人の愛が育まれていることを知らされたのです。

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華燭の宴もお開きになり、ホールでの新婦の胴上げが終わると、
無事に、披露宴が終わりました。

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丁度、パパから連絡があって、そっちはどうかって。
お開きみたいって言ったら、ホテルのロビーまで迎えに来てくれました。

Yさんたちとパパも談笑。
よし君へのお祝いと、私が事務所でお世話になっているお礼。
翁先生も、ワインに酔って上機嫌。

「順子さんには、お世話になって、申し訳ない。
 これからも、ひとつ、大目に見てくれよ」って、パパと握手。

「楽しかったかい?」
「えぇ、若い人たちの出し物が、ふふ」
「よし坊は?」
「まだ、ちょっと、頼りないけど、これから立派になってくれるわ」

私は、そう言うと、パパの肩に、そっと頬を寄せました。
思いもかけないこの一年近くの時間だったけど、
こうやって、今夜パパと一緒に自宅に帰ることが、
それまでの、パパだけの妻としての自分に戻ることのように思えたのです。

穏やかな夜景の中を、二人を乗せたタクシーが、
ゆっくりと、自宅に向かったのでした。

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