小舟の行方4
2017.10.10 (Tue)
「楽しみにしてるよ、順子。
今夜は、僕のこと、思い出しながらおやすみ」
昨日の夜、いつもと変わらぬ、清潔なシーツの上で、
眠れぬままの闇の中で、長い間、身体をくねらせていました。
思い浮かべたくはない彼とのこと、
明日は、もしかしたら、ただならぬ時間を迎えてしまうかもしれない予感が、
いつも通りの眠りを拒んでいたのかもしれません。
いたたまれなくて、そっと、パジャマの胸元から、右手を滑り込ませ、
今だけは、自分だけのものであるはずの、たわわな乳房をたなごころに包みました。
指の間に挟まれた乳首は、すぐに硬くとがり、
望んでいた桃色の淡い悦びが、身体中に広がり始めると、
濡れたくちびるが薄っすらと開き、甘い声が漏れること、我慢できませんでした。
幾らもしないうちに、パジャマと下着を太ももまで下ろし、
もう、蜜液にまみれだしている恥ずかしい柔芽に、白く細い二本の指を添え、
誰よりも知っている自分の身体を、
間違いのない、悦びにいざない始めていたのです。
自分が望む悦びのはずなのに、
それを拒むように、大きく髪を振ってました。
傍らのシーツをかみ締めながら、恥ずかしいほど濡れた指先の動きを早め、
やがて、訪れるだろう、桃色の頂きを予感した途端、、
「楽しみにしてるよ、順子。
今夜は、僕のこと、思い出しながらおやすみ」
突然こころに浮かんだ、彼の言葉に誘われるように、
自分ではないと思えるものが、乱暴に乳房をもみ上げ、
自分の身体を走り抜ける、恐ろしいような悦びが白い腰をシーツから跳ね上げると、
とうとう、我慢できなかった悦びに達する声、誰かに聞かせるように漏らしながら、
気を失うような真っ白な悦びの中に、昇り詰めていったのです。
「あぁん いっちゃう」
濡れたまぶたを薄っすらと開くと、
望んでいた悦びが訪れたこと確かめるように、
もう一度、柔らかな乳房、ゆっくりと揉んでました。
「ごめんなさい、パパ」
けれど、それは、夫のある身でありながら、自分の指で悦びに震えたこと、
いえ、それ以上に、
桃色の頂に昇り詰めるその瞬間、夫ではない男の人のこと、こころに浮かべたことだったのです。
どうかしていたのかもしれません。
今は望めない男の人のものを求めて、
驚くほど蜜液を溢れさせていた秘唇、もう一度開くと、
二本の細い指先、ゆっくりと滑り込ませました。
その指に応えるよう絞まりだした、自分の中の嫌らしくひくついているひだを感じながら、
諦めたように、そっとまぶたを閉じた、そんな夜だったのです。
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