披露宴の夜2
2016.04.05 (Tue)
両家が招かれたお客様の数の関係からなんでしょうね、
私が座ったテーブル、新郎側と新婦側、半分ずつのお客様でしたよ。
「なんだか、合コンみたいですね」
そう、笑いながら声を掛けていただいた、隣の席の男の人、
新郎の職場の方で、聡明そうなハンサムな青年でした。
同じテーブルの皆も、やっぱり嬉しそうで、
まだ、披露宴始まる前から、ウエルカムドリンクで乾杯して、
お話に花が咲いたんです。
「新婦の同級生なんでしょ、お綺麗ですね。お隣に座れて、ラッキーでした」
新婦と同じ歳って思われて、私、嬉しかったです。
本当は、幾つか歳上なんですけど、それ、黙っておきました。
ふふ。
披露宴、楽しかったですよ。
最近は、仲人さんも立てないし、ご挨拶も短いし、
職場の方の、楽しい出し物や、歌で、大いに盛り上がってました。
ただ、新郎側、新婦側とも、お堅い公務員のお友達ばかりだったから、
皆、品が良かったですね。
あっ、お料理、えぇ、申し分ありませんでした。
「二次会行くんでしょ?」
「えっ! あぁ、どうしようかしら、まだ、決めていないんですよ」
「行きましょうよ、せっかくだから、新郎新婦のために。
それと、えーっと、僕たちのために」
「えーっ、それ、なあに?」
「これでお別れするなんて、せっかく、あなたとお逢いできたんだから」
「まぁ、恥ずかしいわ」
「いいでしょ、一緒に。行きましょうよ」
困るわ、主人には、そんなに遅くならないだろうからって、
そう、言ってきたのに。
でも、あんまり、彼が、言うから、
「ごめんなさいね」って、一度、席を離れて、主人に電話してみたんです。
「ごめんなさい、二次会に誘われてるの、どうしようかしら」
「誰に?」
「同じテーブルの、若い男性の方、あっ!違うのよ、皆も一緒なのよ」
「年下なの」
「えぇ、妹さんと同じくらいかなぁ」
「順子は、どうしたいの」
「あなたが言う通りにするつもりよ」
暫く、声が途切れると、主人の息遣いだけが、微かに聞こえてました。
「行っておいでよ、楽しんでおいで」
「いいの、嫌じゃない?」
「かまわないさ、順子がそうしたいんだったら」
「本当?じゃぁ、ちょっとだけいいかしら」
「いいよ、遅くなっても、先に寝てるから」
「嫌よ、すぐに帰ってくるから、待っててね」
でも、その返事、聞けないままに、電話、切れたんです。
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