「バージン★ママ」

自分では、どうしようもなく、腰、跳ね上がっていました。
男の人の印、自分の身体の中に早く欲しくて、
そんな恥ずかしい動き、してたんでしょうね。
そんな私の動きに応えるように、やがて、曇った低い声が聞こえると、
それまで以上に、男の人のもの、強く突き入れられ、
そして、身体の奥が、温かいもので満たされただしたこと、しっかりと感じたのです。



切ないような細い声が、白い布団のはだけた浴衣の上に横たわった私の口から、
漏れ続いていたような気がしました。
それは、相手の男の人の液を、しっかりと迎え入れたこと、
告げた声だったのかもしれません。
自分ではどうしようもない、強い麻痺、幾度も襲う白い太ももで、
彼の腰しっかりと引き寄せると、自分から、激しくくちびる、ねだっていたのでした。



薄墨をさらに溶かしたような闇が、部屋の中を満たしていました。
かろうじて、枕元の床の間にある行灯のひかりが、薄い和紙を通して、
治まらない喘ぎに、乳房を揺らす私の身体を、うっすらと照らし染めていたんです。



もしかしたら、こんな夜になってしまうかもしれない。
けれど、思いもよらない、強い悦びにいざなわれた身体、
その行灯のひかり、涙に濡れたまぶたを開いたまま、じっと見つめ続けていたのでした。





お寿司屋さんには、珍しい洒落た照明のひかりでした。
お寿司が、いちばん美味しく見える灯りなんでしょうか。
注がれるがままに盃を傾けて、飲みすぎていたのでしょうね。
一緒に弘前に行かないか、そんなふうに誘われた私、
ほんの僅かな時間に、雪に包まれた恥ずかしい夜の夢、見てしまっていたのです。

おまかせの１２實をお願いしてありましたが、上品にお酢の効いたシャリ美味しくて、
もう、お腹いっぱいになりそうでした。



「これ、大切にしてますよ」
そう言って、この間と同じ見慣れた携帯電話の画面、
何かしらって、のぞき込むと、やだぁ、私の裸の写真！
前にみつ川でご一緒した後、
二件目のお店で、白状してしまったブログに載せている私の写真なんです。

前に、書いたように、
このブログの中に、主人に撮られた私の秘密の写真、何枚かUPしてあるんですけど、
けれど、あの時、
「きっと、この写真でしょ」って、そう言われて、
恥ずかしかったけど、白状してしまっていたのでした。



「忘れたくなくて、こうして眺めながら、あなたの肌、思い出してるんですよ」
そう言われた私、そっと、目を伏せるしかなかったのでした。

あの時と同じように、薄っすらとした、紫色にたなびいた細い雲に、
今まさに、その姿を包まれようとしている、おぼろな月、
彼の肩口の向こうに広がる夜空の中に浮かんでいました。



今夜の時間が、また、あの時と同じように流れてしまうこと、
ここにはいない主人に、許しを請いながら、
二つの影、暗がり坂の闇の中に、溶けて行ったのでした。

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