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「幸せの行方」 その26 恋人たちの夜

2021.05.17 (Mon)


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部屋に戻ると、どちらともなく、二人が待ち望んだ時間のための準備を始めていた。
先に浴室に入った順子は、
これから彼を迎えるだろう秘唇に僅かに指を添えてみたが、
そこは、おびただしく蜜液が滴り、
自分の身体が心と同じように、すっかりと準備を済ませていることが分かった。

やはらかなバスタオルに身体を包み部屋に戻ると、
「いい匂いがする」嬉しそうな顔で、柏木が抱きしめてきた。

いつの間にか、部屋の中には三脚が立てられていた。
あの時と同じように、自分の恥ずかしい裸体を撮影つもりなのだろうか。
順子は鏡の前に座ると、自分の顔をあらためて見つめた。
そこには、妻の顔も、母親の顔も、なかった。
ただ、男の液を求めて、すでに吐息さえも乱し始めた、女の顔があったのである。

彼がバスルームからでるまでの、僅かな時間にと、
良い香りのするコロンを、バスタオルをはずした身体に塗り込んでいると、
柏木が出てきた。
身体を見られないようにと、慌てて柏木の視線をタオルで遮ろうとしたが、
許してはくれなかった。

「どうせ、朝まで、いらないから」、そう言うと、
そのタオルを取ると、
傍らの、三脚に乗っているカメラを操作した。
後で分かったことだが、
何秒かの間隔を置いて、自動でシャッターが切れるらしい。
恥ずかしいこととは思えたが、その時の順子には、特に拒むことではなかった。

コロンの良い香りのするだろう順子の身体を、
柏木の舌が、なぞり続ける。
首筋を、乳首を、そして、白い太ももの内側を、
永い時間をかけて、熱い舌が、探り濡らした。

鳴き声のような細い声を聞かせていた順子だったが、
その舌が、秘唇と柔らかな芽に及んだ時に、
強い頂に誘われ、登りつめることを柏木に告げるしかなかった。

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柔らかな手のひらで包んでいた彼の熱いものを、
待ちわびて、身体に迎えたいとねだると、
そんな順子の誘いに少しだけ驚きながらも、
柏木自身も、待ちきれないように、膝を進める。

柏木は怪訝に感じるかもしれないと思いながらも、
今まで、彼女の手のひらにあった、その待ちわびたものを、
自分の秘唇に誘うと、
彼の良い匂いのする逞しい身体が、被さってきて、
自分のひだを分けて、ゆっくりと彼のものが、
身体の奥に入り込み始めたのがわかった。
彼の背中に両腕を絡めながら、
やがて、それを、一番奥にまですっかりと収めたことを告げたのだった。

この時を、どれだけ待ち焦がれていただろうか。
求めた人のものを、今、受け入れることができた。
背徳の妻であることは変わりはないのだけど、
恋人からの愛を、正直に受け入れた女だとも思えた。

逢えなかった時間を埋め合わせるかのようにして、
泣きながら、彼と彼のものを求め続けたのだ。

どうして、彼の身体との相性は、こんなにも良いのだろうか。
彼と吸い合う唇も、自分の乳房とそれを包む彼の手のひらも、
そして、今、繋がりあっている、二人のものも、
お互いのものが、お互いの身体のために作られたように思えてならなかった。
順子は、鳴き声を聞かせながら、彼と彼の身体を求め続けたのだった。

「このままいいんだね」

彼が、掠れた声をかけて、
望んでいた時が迫ったことを、教えられた。
順子は、涙に滲んだ瞼を薄っすらと開き、小さく頷いた。

「一緒に」

そう言ったつもりだったが、声にはならなかっただろう。
それまでよりも、柏木の腰が深く順子に押し付けれらる動きになると、
改めて抱きしめられ、口づけを求められた。

とうとう、取り返しのつかない時間、
そして、自分が待ち望んだ時間が、今、始まろうとしていた。

「逢えるとわかったときから、今を待っていたんだ」

柏木の言葉にどう返事をしてよいのか、朦朧と喘ぐ順子にはわからなかった。
それに、もう、喜びの瞬間は、すぐそこまで、迫っていたのだ。
それまで以上に、たわわな乳房を膨らませながら、
「お願い、一緒に」との言葉が、彼への回答になったのだ。

「今」

そう曇った声が聞こえると、
強く抱きしめられ、そして、彼のものが大きく膨らんだ。
求め続けていた熱い柏木自身が、自分の身体の奥に注がれることが分かった。
順子も、彼の背中抱きしめ、両足を彼の腰に絡ませ、
女の身体の求めるがままに、豊かな腰を擦り付けていたのである。

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三度、四度と、彼からの突くような愛の動きは、
やがて、治まりかけたが、
声にならない掠れた声で、喜びを伝えた順子の白い身体には、
まだ、治まらない麻痺が、訪れ続けていた。

自分では、気を失いかけたとも思えたが、
少しづつ二人の息遣いが治まり、柏木がゆっくりと、身体を離そうとしたとき、
思わず、彼の身体を抱きしめ、
彼の腰に両手を添え、自分のものに静かに引き寄せ、
改めて、小さな吐息をもらすと、

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「もう少し、こうしていて」

そう、言うと、そっとまぶたを閉じたのだった。

温かいものが、さらに、奥に流れ込んでくれるように、
そして、彼のものが、自分のものを見つけてくれるように、
穏やかなこの時間を、二人だけで、共有したかったのだろう。
柏木は、順子の求めるがままに、
彼女の幸せそうな顔を見下ろしながら、
その温かさと、強い締め付けを感じ続けていたのだった。

恋人たちの夜は、まだ、始まったばかりだった。


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