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ひろしとのこと7 嘘

2019.02.18 (Mon)


「今日、南さんと逢ったよ」
「へぇ、珍しいわね」
「香林坊で突然雨が降りだして、Tたちと入ったお店が、
ほらっ、偶然、南さんの店だって話」
「まぁ、南さん、驚いてたでしょ」
「あぁ、お互いびっくりしたさ」

南ちゃんのこと言われ、ちょっと、どきってして、
思わず、けれど、慌てたこと、主人に気が付かれないように
そっと、ワイングラスに手を伸ばしました。
そうですよね、私が今、夫にも内緒で逢っているひろしを紹介してくれたの、
南ちゃんなんだから。
でも、話はそれだけでは、済まなかったんです。

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「そういえば、主計町の小料理屋で、南さんや、えーと、何て言ってたかなぁ、
 あぁ、ひろしだったっけ、三人で、飲んだんだって、南さんが、話してた」
「えぇ、ほらっ、ちょっと前、同窓会の打ち合わせで、
 南ちゃんと逢ったって言ってたでしょ、あの時のことよ。
 あぁ、ひろしさんて言うのね、あのひと」
「でも、そいつ、気を付けた方が良いって、南さん言ってた。
 女癖が悪くて、何人も泣かせてるみたいなんだって」
「まぁ、あの人そんな人なのね。
 関係ないわ、大好きなのは、パパだけなんだから」
「そうだよね、順子は、男運がいいからね」

食事の後、洗い物をしながら、
ひろしとのことで、いつの間にか、私、
大切な夫に、嘘をついてしまうような女になってしまっていたことに気付くと、
私、小さな吐息を、吐いたのでした。

それに、夫とその話をしたのは、
私が、能登のリゾートホテルで、ひろしに初めて身体を開き、繋がり合い、
狂ったような時間を過ごした、僅かに二日後の週末だったのです。

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「さて、今夜のご機嫌は、どうかな」

そう言って、パパが私のベッドに入ってきました。
私らしくもなく、いろいろと理由を付けながら、
パパのこと迎えられない周期の時じゃなかったのに、
夜のお誘い、何度も断り続けていたのです。

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なぜだか、私自身にも分かりませんでした。
とにかく、あれほど好きなはずのパパから触られること、
どうしようもなく、居たたまれなく感じられたのです。

人妻として、愛している夫以外の男の人から、
指一本触れられるのに、ひどい、嫌悪感を感じていました。

だから、夫から、勧められるがままに、
初めての男の人の手の平が身体を這い回る時、
言いようのない感情が沸き上がってしまっていたのでしょうね。
そして、それが、逆に、悦びを深くしてしまっていたのだと、思います。
それは、自分の、夫への愛情の深さからだと、思っていたのです。

その、夫ではない男の人に感じてしまう嫌悪感に似た感情が、
今、最愛の人であるはずの、夫に対して、感じられてしまっていたのでしょうか。
それは、夫ではない彼に、
あれだけ激しく、抱かれ続けられたせいだったのでしょうか。

「久し振りだから、たっぷり、出してあげるよ」

そう言われた営みの終焉の間際、
自分の身体の奥で、
男の人のものの先から吹き出す、粘り気の強い白い精液を思い浮かべながらも、
よぎったのは、まぎれもなく彼の満足そうな笑み。

私、夫ではない彼の名前を叫びそうで、
痛いほどくちびるを噛みしめると、
その笑みに誘われるようにして、昇り詰めてしまっていたのです。

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