犀川のほとりで4
2021.08.16 (Mon)
暫く、縁側の籐の椅子に腰を下ろし、
まだ、ちょっと涼しすぎるとも思える夕風に当たっていましたが、
よし君が、お湯を使っている、微かな音を聞きながら、
私、ありもしない、よし君との間の、恥ずかしい時間を思っていたんですね。
そんなこと、あるはずもないのに、あってはいけないのに。
「ごめんなさい」
いつもは夫が吸うことがない、煙草の香りと薄紫の煙の帯が、
寝室の中を漂っているような気がしました。
「裸になってごらん」
何も言えないまま、私、傍らにある猫足の椅子に、脱いだ洋服を掛けましたが、
それだけでは、許してくれそうもない夫の眼差しを感じて、
ブラの肩ひもを滑らせると、片足になって、ショーツを脱ぎ落しました。
「出されたのか、あいつのを」
慌てるようにして、髪を揺らしましたが、
それは、彼の男の人のしるし、身体の奥に注がれはしなかったけど、
しっかりと、身体を繋ぎあった夢を見てしまったこと、知らせたことにもなったのでしょうね。
私、慌てるように、ベッドに上がると、夫のパジャマの間から、突き出ていた、
いつもは、大好きなはずの男の人のものに、指を絡ませ、
さっきまで、よし君のものをあれだけ迎え入れ夢を見て、
きっと、柔らかくなっていただろう自分の秘唇に擦り付けました。
「そうやって、咥えこんだのか」
恥毛が絡み合った二人の性器、しっかりと繋がったのを眺めながらそう言うと、
ゆっくりと、腰を動かしだした夫に、何も応えることはできませんでした。
ただ、今は、それ、しっかりと迎えることで、
少しでも夫へ、その夜の夢の時間を謝りたかったのでしょうか。
いつにない強い突き上げに、幾らもしないうちに、
強い悦びの頂に昇り詰める予感が感じられましたが、
額に薄っすらと汗さえ浮かべた夫、
そんな私と、上手に合わせて、曇った声を聴かせながら、
敢え無く、驚くようなたくさんの自分の精液、
しっかりと突き入れた私の身体の奥に、吹き上げたのです。
そんな、いつになく、乱暴だとも思えるような動きに誘われるようにして、
私、正直に昇りつめ、たわわな乳房、震わせた姿を仰け反らせたのに、
ごめんなさい、パパ。
その瞬間、こころに浮かんだのは、
今、大切な男の人のしるし、いっぱい注いでくれたパパじゃなくって、
さっきまで、心の中で、肌を重ね合い、身体を繋ぎあっていた、
そう、パパではない、よし君の爽やかな笑顔だったのです。
息も絶え絶えに、身体を震わせてしまっていた私。
パパ、これでわかったでしょ、この日、よし君と、何もなかったんですよ。
でも、私とよし君のこと、そんな風に思ったパパに、
いつも以上に情熱的に愛してもらった私、とっても、幸せだったんです。