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ひさしぶりのセカンドライフ

2021.09.21 (Tue)


「出して 子宮の奥に、あなたの精液、たくさん出して。一緒に、良くなりたい」

そうタイプすると、自分の細い二本の指を、
もう一度、自分の気持ちと、そして、身体に念を押すかのようにして、
秘唇の奥に深く刺し入れたのでした。

自分の指で、自分の身体の望むがままに、
頭の中が、真っ白になるような強い悦びの頂に昇り詰めた瞬間、
お部屋の中に、乾いた音が響きました。
跳ね上がった腰と同時に、ダストボックスを足先で蹴ってしまっていたんです。

喘ぎが治まりかけ、悦びの名残りの麻痺に震える秘唇から、
指先をそっと抜くと、
驚くほどたくさんの透明な愛液がうしろの窪みまで滴り流れ、
それは、今まで、嫌らしいことを言い続けてくれた、
画面の中の彼の、まぎれもない、精液のようにも感じることができたのでした。


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セカンドライフ 
皆さん、ご存知ですか。
随分と前に話題になったバーチャルな世界でのゲーム。
土地の売却や、いろいろなものの販売などで、
結構、お金儲けをした人もいるんですよね。ふふ。

当時、私も、お洋服やヨットを買ったりしていましたよ。
一番の楽しみは、現実には逢うことのない人とのたわいもないお話や、
毎晩のように参加したヨットレースでしたが、
そんな中で、求められて、身体を重ねあったこと、幾度かありました。

そんなゲームの中でのセックスなんか、面白くもなんでもないんでしょって、
思われるかもしれませんが、
実は、嫌らしいことを言われながら、自分の秘唇で指を震わせ、
ダイニングの椅子に座ったまま、リアルに悦びに昇り詰めること、何度もあったんです。
ふとした日常の中で、その時の、人には見せられない、
恥ずかしい姿の、自分のこと思い出すと、
息が乱れるほど、やみつきになった時期もあったんですよ。

人目を忍ぶために、カーテンの引かれた薄暗いダイニングの椅子に座り、
だらしなく開かれたブラウス、押し上げたブラのホックを外すと、
幾らか張ったように感じる乳房を揉み上げ、硬くなりつつある乳首を摘まんでいたんです。
フレアのスカートもたくし上げ、腰を浮かせ、下着脱ぎ落すと、
もう、何もしなくてもいいほど潤っている秘唇、
指先でゆっくりと左右に開いていたのでした。

濡れた瞳で見たPCの画面の中では、
今日初めてお話したばっかりの裸の男の人の逞しい腰が、
恥ずかしいほど開いた、私の太股の間で、嫌らしく跳ね動いていました。
そして、その動きに合わせるようにして、
私、身体の奥に刺し入れた指の動きを速めると、
仰け反りながら、我慢できない小さな叫び声、漏らしてしまっていたんです。

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自分が、どうすれば確実に そして、深く悦びに昇り詰められるか、
誰よりも一番知っている私の二本の細い指、
幾らもしないうちに襲ってきた頂の予感に、
切羽詰まったような、恥ずかし声が喉の奥から漏れると、
跳ね上がった腰、ぶるぶると震わせ、正直に昇り詰めていたのでした。


最近、何年か振りに、また、セカンドライフ尋ねてみました。
前のデスクトップパソコンじゃないノートPCで、動きが少し悪いし、
久し振りだから、操作のことで、いろいろと忘れてしまったことも多いんですけど、
何とか楽しんでいます。

毎晩訪れていたヨットハーバーなど、
前に行っていたところが閉鎖されているところが多くて、ちょっと寂しいですけど、
何人かの人と出会い、お話しできました。
暫くの時間、お互いのことなど楽しくお話をしていると、
画面上なのに、それも、アニメーションなのに、
相手に対しての情が移るから、不思議ですよね。
そして、案の定、私の身体を欲しがる人が何人かいて、
昔と同じように、恥ずかしい時間、過ごしてしまったんですよ。

お逢いした人に、自分の部屋に連れていかれて、
言われるがままに、ソファーに座ると、
いつの間にかスラックスを脱いだ彼の腰からは、
恐ろしいような大きさの男の人のものが、そそり立っていたんです。

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後は、リアルライフ(現実世界)と同じです。
アニメーションの動きも、幼稚だと言えばそれまでですけど、
そんな画面を見ながら、タイプされてくるお相手の嫌らしい言葉に、
やっぱり興奮してしまうんですよね。

だんだんと、身体が熱くなって、
言われるがままに、ダイニングの椅子に座ったまま、
下着を脱いで、自分の熱を帯びた秘唇に指を使ってしまって、
最後には、まぎれもない性の悦びに、激しく身体を震わせてしまうんです。

おびただしく濡れた指、キーボードがびしょびしょになってしまうのが心配で、
今回は、男の人から誘われ、そんな雲行きになってきたら、
お台所からサランラップを持ってきて、
キーボードに被せることにしているんです。
そうじゃないと、キーボードが濡れて、たいへんなことになっちゃうんですもん。ふふ。


今週は、二人の男の人から、抱かれました。
ひとりは、若い(きっと現実でも)爽やかな男性、言われるがままに、
リゾートの浜辺に連れていかれて、そこにあったふかふかのソファーの上で、
若者らしい、反り返った赤黒い男の人のもの、お口に突き入れられました。
幾らもしないうちに、そんな画面を見ていた私の身体、だんだんと熱くなって、
ブラウスの前を開くと、ブラ、たくし上げ、ゆっくりと乳房、揉み上げていたんです。

正直に言うと、やっぱり、気持ち良かったですね。
リアルで、彼からされているわけではありませんが、吐息を漏らし、
乳首をこりっこりってすると、殆ど、ためらうこともないままに、
腰を浮かせて、ショーツ、脱ぎ落したんです。

嫌らしいこと、言われ続け、私もそれに応えました。
リアルでは、とても言えないような恥ずかしい言葉、ここでは言わされてしまうんですよね。

自分の二本の指の動きで、あえなく昇り詰める瞬間、
震える指先で、リターンキーを押しました。
「いくっ」っていう、リアルで漏らした私の言葉が、そのまま画面に打ち出されたんです。

その日、彼を相手にした僅かな時間の間に、二度、昇り詰めました。
たわいもないことだとは思うんですけど、身体は正直なんですね。
椅子の背当てにゆだねた身体の上を、治まらない悦びの麻痺が走り抜けるのを感じながら、
きっと、私、リアルで抱かれたような、満足そうな笑み、浮かべていたんだろうと思います。

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もうひとりの彼は、私より、年上のように感じる人でした。
お話の内容も落ち着いていて、私の身体を欲しがっていることも、
初めは分からないような、そんな会話だったんです。

数回お逢いしている中で、
私が、前はヨットで楽しんでいたことを話したところ、
ご自分が所有している、古いデザインでしたが、素敵なヨットに乗せていただき、
寄港した後、キャビンなかのベッドの上で抱きしめられ、
初めて、くちびるを許しました。

別の日には、驚いたことに、大きなプライベートジェットに乗せてもらいましたが、
私のPCの能力が追い付かなくて、残念な時間でしたね。

リアルでのお互いの時間の関係で、セカンドライフで、なかなかお逢いできませんでしたが、
それは、それで、嫌ではありませんでしたよ。
今日は逢えるかなあ、それとも、やっぱり、逢えないかなあ って、
そんなふうに思う時間が、彼への気持ちを育てること、感じた時間だったのでしょうね。
こんなことって、現実にもありますよね。

彼から言われて、断らなかったホテルへの誘いのまま、
恋人たちの、営みのためだけに作られたと思える部屋に招かれました。
私の液を味わいたいと言う彼、長い時間、恥ずかしい姿の私の太ももの間で、
舌先が這い回っていたんです。
リアルでも潤いを感じてしまっていた愛液の啜る音を聞かされて、
もう、それだけで身体、熱くなってしまったんですよ。

何も身に着けないまま、彼にしっかりと見えるように太ももを開いて、
指を使いましたが、それは、リアルでの、私と、殆ど同じ姿だとも思え、
甘い喘ぎ声、我慢できずに漏らしてしまっていたのでした。

この時は、勤めもなくて時間に余裕があって、
私自身が望むままに、充分に愛され、
リアルでも、幾度となく昇り詰めることができましたが、
そんな私と同じように、彼にも良くなってもらえるように、
彼の精液が欲しいって、何度も口にしましたよ。
相手がいないままに、自分で良くなることって、
女性に比べて、男性はたいへんなんでしょうね、
だって、あんなにたくさんの粘り気の強い男の人の精液、
お部屋の中で、振り撒くわけにはいかないでしょうから。

良かった、出したよって、彼にはそう言ってはもらいましたが、
リアルではどうだったか、それは、分からないんですよ。
ただ、分かるのは、そんな彼のおびただしい白い精液を目に浮かべて、
お陰で、私自身、しっかりと満足できたことなんです。

セカンドライフ
皆さんも、いかがですか。バーチャルではありますが、
この世界の中では、私の身体、こころゆくまで、楽しんでもらえますよ。
ふふ。

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大賀さんとの出会い2

2021.09.13 (Mon)


「誰に、会うの?」
「えぇ、パパのお友達よ、税理士さんで、京都で事務所開かれてるの」
「へぇ、それで、いい帯していくのね」
「パパに恥かかせるわけ、いかないから」

叔母さんに、そう言いながら、帯をぽんっ叩くと、着付けが終わりました。
前にも書いたように、
着物は小さい頃から、所作や着付けなど、厳しく躾けられていて、
お洋服と同じように、気軽に過ごせるんです。
今日は、蒸し暑くなりそうなので、単衣ですが、
初めての着物姿、大賀さんに見てもらうこともあって、
比較的、高価なものを選びましたよ。

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大賀さんと、そして、私にとっても、珍しくない嵐山に行くことになっていましたが、
前に比べると、外国の観光の方も、随分と少なくなって、
のんびり楽しめるだろうって、そう言われていました。

京都駅で待ち合わせをしましたよ。
少し早く行ったから、暫く待つことになりましたが、
嫌ではなかったですよ。
その時間は、これから逢う、大賀さんのことで、
こころを染める時に、外ならなかったからでしょうね。
でも、着物姿の私、少し、目立ったのでしょうか、
沢山の男の人の視線、随分と、感じていました。

「すいません、待たせちゃいましたね」
「いえっ、私も、今、来たばかりなんですよ」
「わぁ、着物なんだ、いつも以上に、綺麗で、惚れ直しちゃいますね」
「まぁ、お上手ね」

大賀さんは、趣味の良い、ジャケットを着ていて、
何かしら、良い匂いがしました。
烏丸口からタクシーに乗って、渡月橋の端で降りました。
コロナウイルスのことで、京都に来た時も、
無用な外出はしなかったので、こちら辺りも、久し振りだったですね。
ゆっくりと、本当にゆっくりとした大賀さんの隣を、
それに、合わせるように、私も、ゆっくりと歩きました。
もしかしたら、着物の私に、気を使っていてくれたのかもしれませんね。

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八つ橋のお土産屋さんや、湯葉料理のお店などを、
両側に見ながら、並んで歩きましたが、
同じような年ごろの二人、
傍から見たら、仲の良い夫婦に見えたかもしれません。
お互い、この街のことは、よく知っているから、
何かしら、案内するようなことはありませんでしたが、
こうして、肌の温かささえ感じるほど近くに、長い時間一緒にいると、
もう、それだけで、気持ちが伝わり合うような気にもなりました。


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そう感じながら、大賀さんの足先に誘われるがまま、
暫く歩き左に曲がると、野宮神社の前に出ました。
「源氏物語」にも出てくる神社なのは、皆さんも、ご存じですよね。
文学部の私も、大学時代、何度か、訪れたことがありました。
それに、ここは、縁結びや良縁祈願の神様としても有名で、
今日も、若い女性の皆さんが、来られていましたよ。

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ご縁は大切なことですけど、
今、隣にいる大賀さんとのご縁はどうなるのでしょうか、
皆さんが、呆れているだろう、私と、夫ではない男の人とのふしだらな関係、
大賀さんと、そうなってしまわないようにって、お参りをしたんですけど、

「何を、お祈りしたんですか」
「えっ、ええ、いろいろと。大賀さんは?」
「僕は、順子さんとのご縁が、結ばれますようにって、お願いしましたよ」
「まぁ」

私とのご縁を結ぶって、
それって、身体の関係を結びあうっていうことなんでしょうか。
今、隣にいる大賀さんに抱きしめられ、
彼の男の人のもので、私の身体と、
これ以上はない、縁を結び合うっていうことなんでしょうか。
ご縁が結ばれること、それは、素敵なことですけど、
男と女として、身体の関係が結ばれてしまうのは、困るわって、
こころの中で、そっと、思ったのでした。

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竹林の道も、私が、学生に来た時と同じように、
今は、驚くほど、人が少なくて、ゆっくりできました。
植物に囲まれるって、本当に、こころが休まりますよね。
着物で来て良かったと思える場所でした。

こうして、大賀さんと半日を過ごしました。
驚くような高級な料亭で、食事ご一緒させてもらいましたよ。
まだ、何度もお逢いしたわけではありませんでしたが、
その時間が、とても、幸せな時間なこと、感じていたんです。

けれど、この日のことが、
これから始まる、私と大賀さんとの、人には言えない時間の幕開けだとは、
その時、私、気が付かないでいたのでした。

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大賀さんとの出会い

2021.09.06 (Mon)


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お勤め先には、毎日、何人かのお客様が来られます。
殆どの方が、事前に連絡があっていて、対応で、特に困るようなことはないんです。

来られたら、翁先生やY先生のお部屋にお通しして、
コーヒーなどをお出しするですが、
和菓子で有名な街なので、村上の垣穂を添えていますよ。
これって、派手さはありませんけど、黒胡麻がまぶされていて美味しいです。
お取り寄せもできますから、皆さんも、いかがですか。

「あらっ、またお勤め始めたの」
「えぇ、昔と同じように、よろしく、お願いします」
「Yさん、いいですよね、なんだか、華が咲いたみたいで」

前から知っている方、嬉しそうに挨拶してくださるんですけど、
大概の男の人は、私の胸元や身体を、舐めるようにご覧になるんですよ。

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「ねぇ、パパ、大賀さんって、知ってる」
「税理士の大賀さん?」
「えぇ、京都の」
「あぁ、よく知ってるよ、何度か一緒に仕事したこともあるし」
「今日来られたわよ、Yさんを訪ねて」
「へぇ、珍しいね」
「しっかりした人みたいね」
「あぁ、優秀だよ。事務所も、成功してるみたいだし」
「そうなのね」
「ただ」
「えっ」
「随分前だけど、奥さんと別れたって聞いてるよ」
「まぁ」
「理由は分からないんだ、仲の良い夫婦だと思ってたんだけどね」
「子どもさんは?」
「いなかったよ、確か」


「へぇ、彼の奥さんとは知らなかったなぁ」
「主人のこと、ご存じなんですか」
「えぇ、けっこう、昔から」

初めて、大賀さんが来られた時、Yさんから紹介していただきました。
そう言うと、もう一度、私のこと、見直したのです。
大賀さんは、背の高い、スマートな体系で、
初めてお会いした私には、ちょっと、恥ずかしくて、慌てて目を伏せたんですよ。

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Yさんとのお仕事の都合でしょうか、
それから、大賀さん、月に何度か、来られるようになりました。
わざわざ、京都から来てもらうのは申し訳ないって、
その都度、翁先生も交えて、お食事に行かれ、泊まられることもあったみたいです。

もちろん、お勤め先にとって、大切な方、
私にとっては、ただ、それだけの人だったのです。



京都の叔母さんに家、高校時代に使わせてもらっていた部屋に、
今も、そのまま、泊まらせてもらっています。
そこから、主人に電話しました。

「パパ、八坂さんの近くで、偶然、大賀さんと会って」
「へぇ、あぁ、事務所、そのあたりだったよ」
「それで」
「それで?」
「それが、ご飯、誘われちゃったの」
「えっ」
「主人に聞いてみないとって、その時は、断ったんだけど」
「あいつがねぇ」
「嫌でしょ、パパ」
「そんなことないさ」
「ううん、いいのよ、お断りするから」
「いやっ、いいよ、行っておいで、僕は、かまわないよ」

いつものように、京都の叔母さんのところに行った時、
お買い物の途中、花見小路の四つ角で、突然、声を掛けられたのでした。



「順子さん、ですよね?」
「あらっ、大賀さん、まぁ、驚いたわ」
「いやぁ、驚いたのは、僕の方ですよ。どうして?」
「京都にいる叔母のところに、時々来てるんですよ。今日は、お買い物の帰り」
「へぇ、そうなんですね」

その後、せっかくだからって、すぐ前にあった、タリーズコーヒーに入って、
しばらく、お話ししたんです。

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夫が仕事のことでお世話になっていることのお礼や、
私が大学時代、京都で過ごしていたこと、
大賀さんの事務所がすぐ近くにあって、気分転換のために、
このコーヒーショップに、よく来ることなど、楽しかったですね。
主人が、優秀な人だって言ってたの、そんなお話の間にわかったし、
思っていたよりも、ユーモアのセンスもあって、こころが解れました。

残っていたコーヒーがすっかり冷めて、
窓から見える、花見小路の角にあるお茶屋さんの赤い木造の建物が、
薄っすらと、夕陽に染まりだし、
思いもかけず永い時間、満たされた時を過ごせたことに、
お礼を言いながら席を立ったんです。

「また、来られたとき、食事でも、いかがですか?」
「まぁ、ありがとうございます。でも、主人に言ってからじゃないと」
「あぁ、そうですよね。人妻の順子さんが、黙って、私と逢うわけいかないか」
「いえ、そんなこと、ないんですけどね」

大賀さんからの、お食事のお誘い、黙って受けてしまったら、
何も知らない主人に申し訳ないって、そう思いながらも、
それに応えてしまうような眼差し、向けてしまっていたのかもしれませんね。




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簡単な朝礼が終わると、
いつものように、Yさん、壁に掛けてある日程表のホワイトボードに、
いくつかの日程を、追加されました。
幸いに今日は晴天、淡い朝の斜光の日差しが、事務所に差し込んでいました。

その日程の中に、大賀さんの名前を見つけました。
あらっ、明日、来られるんだわ。
この間の、コーヒーのお礼、言わなくっちゃ。


「大賀さん、明日、来られるみたいよ」
「あぁ、そうなの、また、Yさんとの仕事かなぁ」
「そうだと思うけど」
「でも、なんだか、大賀さんのこと話す時って、順子、嬉しそうだね」
「やだぁ、そんなことないわ」
「あいつ、男前だしね」
「この間、お茶、頂いてるからよ。ほらっ、前にお話ししたでしょ、京都で」
「かまわないよ」
「えっ、何が」

でも、そんな私に夫、
何も応えることなく、目の前に置かれていたワインのグラスに、
ゆっくりと、手を伸ばしたのでした。


「この間は、コーヒー、ご馳走になりました。ありがとうございました」
「いやぁ、こちらこそ、楽しかったですよ。ところで、旦那さんのお許しは?」
「まぁ」

「あれっ、順子さん、大賀さんと仲いいね」
「いえっ、この間、京都で偶然会ったんですよ」
「こっちも、びっくりしましたよ、Yさん。京都で、順子さんに会えるだなんて」
「あぁ、順子さん、時々、京都に行ってるもんね」
「えぇ、叔母のところに行ってるんですけど、
花見小路の角で、大賀さんと、ばったり」
「だったら、今度、高級な京都料理でも、ご馳走してもらうといいよ」
「それが、Yさん、そうしたいんですけど、
順子さん、何分、人妻だから、簡単にはいかないんですよ」
「大丈夫だよ、あいつ、そんなこと、気にしないから。
ねぇ、順子さん、そうだよね」

私、何も言わないで、二人に笑顔返したのでした。

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「来週、叔母さんのところに行かせてもらうんだけど」
「あぁ、よろしく、言っておいて、ご無沙汰ばっかりで、すいませんって」
「ありがとう、そう、言っとくわ」
「それで、それだけじゃないんだろ」
「えっ、えぇ」
「大賀と逢うんだろ」
「この間、こっちにいらっしゃった時に、どうかって、また、誘われちゃったの」
「かまわないよ、別に」
「えぇ、長くならないようにするから」
「せっかくだから、ゆっくりすればいいさ」
「そんなわけには、いかないわ。あなたに悪いもの」
「ただ、何があったのか、後で、ちゃんと話すんだよ」
「わかったわ。隠し事なんかしないから、ごめんなさいね」



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